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2020.06.12 08:38

虚ろな税 奈半利事件の実相(5)町長 格差にあらがいたい

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 「ふるさと納税」で全国有数の寄付金を得ていた高知県奈半利(なはり)町の職員と親族、返礼品業者が贈収賄容疑で次々と逮捕された。海辺の町でいったい何が起きていたのか。この制度はなぜ生まれ、できた制度は何を生んでいるのか。高知新聞の報道部と地元支局が事件の実相を追う連載「虚(うつ)ろな税(ちから)」は、高知新聞Plusで全文読むことができます。


ヘリポートなどを備えた防災センター。整備費の償還にふるさと納税の寄付金が使われる(奈半利町乙)

 2018年3月、奈半利町役場。町長の斉藤一孝は、特別な思いで町議会の定例会に臨んでいた。

 4期16年の任期が満了する6月で引退することを決めていた。議会に提出した自身最後の当初予算案。斉藤は「念願だった」という事業を盛り込み、10人の議員に意義を説いた。

 それは町の子どものための給付型奨学金の拡充だった。高校卒業後に進学する子どもが誰でも使えるように、税の滞納世帯も対象に含め、将来は町に戻るといった条件もない。

 例えば、四年制大学に進めば、入学時の25万円と年30万円の計145万円を返済不要で給付する。それまで国立大に限定していた制度を私立大や短大、専門学校にも広げ、1億7500万円の町費を基金に注いだ。

 奈半利町に中学校は1校。高校はない。子どもが成長とともに町を出る姿を見続けた斉藤が「役場人生の集大成」と位置付けた人づくり事業。それを可能にしたのが、2017年度に全国9位、39億円に上ったふるさと納税の寄付金だった。

 斉藤は奨学金拡充の前後、周囲に繰り返しこう訴えていた。

 「あしは、ふるさと納税を使って、奈半利から格差社会にあらがいたいがよ」…

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