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2020.06.10 08:11

高知市の三谷組が岩城組をM&A 馬路村の建設事業を承継

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重機で治山工事を行う岩城組の従業員(馬路村)

 土木建設業の三谷組(高知市中宝永町)は、安芸郡馬路村の建設業、岩城組の株式を100%取得して子会社化した。後継者確保が課題となっていた岩城組の事業承継型のM&A(合併・買収)で、三谷組の三谷修一社長(38)は「災害復旧など地域の担い手としての役割を受け継ぐとともに、事業拠点を増やして経営安定化につなげたい」と話している。

 三谷組は1970年に三谷産業として創業。別会社からの事業譲渡や改称を経て2014年、杉本・宮田建設から三谷組に社名変更した。一般土木、港湾土木工事を中心に建築も手掛け、従業員70人、年商25億円(2020年6月期見込み)。2017年に鳥取県の建設会社を子会社化するなど、M&Aを通じた事業拡大も図っている。

 岩城組は1960年に創業し、馬路村を拠点に森林土木工事や災害復旧を主に手掛ける。近年は従業員16人、年商3億~4億円で推移する。

 今回のM&Aは、後継者不在の岩城組が、取引先であり、事業承継支援のコンサルティング業務に力を入れる四国銀行に仲介を依頼して成立した。

 岩城組社長を務めてきた岩城立郎さん(70)によると、自分のことだけを考えれば廃業の選択肢もあったという。ただ、村内で大規模な災害復旧工事に対応できる会社は限られており、「地域で社会的な役割を背負い、雇用もあった。引き継ぎは2年ほど前から考えていた」。

 一方、三谷組にとっても、経験豊富な森林土木のノウハウが得られ、対応工事、事業拠点が広がることで経営面のメリットも見込めた。「岩城組は地域で歴史、信頼を築き上げ、経営も優良だった」(三谷社長)として、話がまとまった。

 契約後、会社の非常勤顧問となった岩城さんは「(事業承継で)社会的な責任を果たせる。若い社長には、広い視野で時代に合った経営をしてもらいたい」としている。

中山間整備の担い手残る 後継確保のモデルに
 中小事業者の後継者難は県内全域の課題だが、特に中山間地域などでは事情が深刻だ。公共性の高い業務を担う事業所の廃業・閉鎖は、住民生活に直結する。三谷組による岩城組のM&A(合併・買収)では、山村のインフラ整備の担い手が残ったことになり、事業承継の支援機関は「モデルケースの一つに」と指摘する。

 帝国データバンクによると、過去10年の高知県内倒産は年間22~52件なのに対し、県内の休廃業・解散は年間138~210件で推移し、後継者難に起因するケースが多いとみられる。「高知県事業引継ぎ支援センター」の2017年調査では、50歳以上の県内経営者で「後継者がいる」と答えたのは4割にとどまるなど、事業承継は大きなテーマとなっている。

 中でも、事業者の少ない地域では「小さな事業者の廃業でもボディーブローのように効く」と、センター統括責任者の原浩一郎さん。「スーパーやガソリンスタンドといった生活に直結する事業者なら、なおさらだ」と指摘する。

 地域インフラの担い手の建設業もこの構造の例に漏れない。高知県建設業協会によると、ここ5年間の会員数は450社前後で横ばいだが、「5年、10年先の継ぎ手が固まっていない会社は少なくない」。中山間などは事業所が限られているとし、「今くらいの数を維持できないと、防災や災害復旧に支障が出る」と強調する。

 今回の事例は、親族や従業員ではない第三者による事業承継。仲介した四国銀行の担当者は「岩城組の財務状況が良かったことも大きかった。これほどスムーズにいくのは珍しい」とするが、後継者の候補を域外に広げれば承継相手が見つかる可能性も増す。

 原さんは「親族への承継でも時間がかかる。経営者の方には60歳ごろから後継者のことを考え始めてほしい。廃業から引き継ぎへと意識の変革も促したい」と話している。(井上智仁)

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