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2019.06.21 08:00

【県人口70万割れ】豊かに縮む社会へ正念場

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 想定されていたこととはいえ、いざ数字を突き付けられてみるとやはり、重苦しい気持ちになってくる。
 高知県の人口が6月1日時点で、69万9522人となったことが県の推計で分かった。70万人を割り込んだのは戦後初めてである。
 日本全体の人口が減少していく時代。高知県の人口減も止まらない。そんな中でも誇りを持って暮らせる郷土をどうつくるか。「豊かに縮む」社会へ向けて正念場が続く。
 県人口は1955年に88万人を超えていたのがピーク。85年からは減少の一途で、2005年に80万人を割り込んでいた。14年間で10万人減った勘定になる。
 高知県は1990年、全国に先駆けて死亡数が出生数を上回る人口自然減となり、以降29年続いている。これが70万人割れの大きな要因だ。この傾向は今後も変わらず、推計では2060年に39万人にまで減ると見込まれている。
 人口60万人台は戦前の1920年代と同じ水準だ。ただし前回は敗戦後の高度経済成長を経て、県人口も右肩上がりで伸びていった。今回は想定される未来がまるで正反対であることが、状況の難しさを物語っていよう。
 「量」だけでなく「質」の問題も気に掛かる。
 現状で65歳以上は約24万5千人なのに対し、将来を担う0~14歳は8万人と3分の1しかいない。県都への一極集中も顕著だ。高知市の人口は33万人弱で、全体の50%近くを占めている。
 「逆ピラミッド型」の人口構成とバランスを欠いた人口分布―。こうしたいびつさを残したまま、時間がたてばどうなるか。少子高齢化はさらに進み、消滅する集落が続出しよう。高知市以外の多くの自治体で山林や田畑が荒れる。県土には荒涼とした風景が広がるだろう。
 そんな未来を遠ざけるためには、今できることを地道にやり続けるほかない。
 地産外商や移住者の受け入れ、中山間の住民が主体となって地域の課題解決に取り組む集落活動センターなど「小さな拠点」づくり…。尾﨑県政が取り組んできた施策を通して、人口減少下での経済の拡大や中山間地域への若者定着など、少しずつでも成果は現れている。
 教育や子育て支援などを充実させることによって、転入者が転出者を上回る「社会増」を実現させた自治体も出始めている。
 人口70万人割れを受けて、尾﨑知事は「早期に若者が増加する、若返る高知県となるよう全力で取り組む」と強調した。困難ではあっても、それに挑戦することなしには未来の設計図は描けない。
 むろん県だけの力では限界があろう。「国土の均衡ある発展」を実現できなかった国には、地方の努力を後押しする責任がある。権限や財源を国から地方に委譲する「分権」の取り組みに、よりいっそう力を入れるべきである。 

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