2019.06.15 08:25
続・灰まで焼け 高知県大3万8000冊処分のその後(5)秋水の死「可愛そうで…」
本の中にはページの間から慟哭(どうこく)が聞こえてくるようなものがある。高知県立大が処分した本のうち、明治期の人々の姿を浮かび上がらせる、ある日記の記述を追ってみる。
竹林から雑木林へ、新緑が美しい森の中を歩く。クロマツやユリノキ、コウヤマキ、スダジイ…。大きなヒマラヤスギも枝を広げている。木陰の間を風がそよぐ。このまま小道を歩いて行けば、かつての武蔵野にたどりつけそうな気がした。
東京・世田谷。京王線の八幡山駅から住宅街を20分ほど歩いたところに、「蘆花恒春園」はある。
明治の作家、徳冨蘆花(1868~1927年)が愛子夫人(1874~1947年)と過ごした家屋と庭を都が保存整備し、当時の面影を伝えながら、広く開放している。…