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2002.02.11 11:00

土佐の果物語(10) 第2部 (2)一大産地 味求め山へ上がる

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「土佐ブンタン育ての親」の宮地さん(土佐市宮ノ内)

 高知県土佐市はブンタンの栽培面積が二百二十二ヘクタール(十一年調べ)と県全体の約半分を占める一大産地。今にも転げ落ちそうな斜面で土佐ブンタンの木を目にするけど、どうして?

 同市宮ノ内の土佐ブンタン育ての親、宮地正憲さん(78)が笑みを浮かべながら解説してくれた。

 「(ブンタンの)肌がとろっとしていて滑らかで、中身もおいしいもんができるき、山へ上がって行きましたわ。お日さんも当たるし、傾斜地で耕土が浅いところは、根も浅く、やった肥料が(土に)残らない。木の生育に合った管理ができる」

 つまり木に必要な肥料や水が、必要な時に必要なだけやれる仕組みが自然に出来上がっているらしい。寒さに弱い木にとって、冷気が周辺にたまらない利点もある。でも傾斜地ならどこでもいいとは限らない。

 「その木にあった肥料の効き方がある。一番、おいしい実のできるところは一番いい効き方をしている。ほかの木も、木の姿、葉っぱ、色の入れ替わりを見ていて、その(一番いい効き方をしている木の)色になるように肥料を足したり減らしたりする」

 要するに、自分の果樹園内の木を見極めるプロの目が欠かせない。

 「(同市)戸波の土佐ブンタンの味がいいと言われるのは、夜は冷やくなるけど、昼間の温度は高くなるでしょ。山のコメがおいしいと言われるように、夜冷える所では昼間にできた養分を自分の体の成長に使うことなく、実に貯蔵していくからよ」

 その年の天候によって少し変動はあるが、同市の土佐ブンタンは大体、十二月から収穫を始める。そして出荷は一、二月から。出荷まで短くても一カ月ほど間が空いている。
 「ブンタンは寒さに弱い。木に遅くまで置いておくと糖度は上がるが、寒さにやられては商品にならん。追熟でえい味、風味になるがよ」

 そうか、追熟によっていい味が出るんだ。

 で、追熟って何?

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