2016.03.17 13:30

小社会 後に秦の宰相となる中国・戦国時代の遊説家、張儀は…

 後に秦の宰相となる中国・戦国時代の遊説家、張儀は諸国を巡っていたが、当初はなかなか芽が出なかった。遊説先で盗みの疑いをかけられて、めった打ちにされたこともある。

 傷だらけで帰宅すると、妻は嘆き悲しんだが、「おれの舌をよく見ろ。まだあるか」。妻が笑いながら「ありますよ」と答えると、「それで十分だ」。舌先三寸で天下を動かそうとする遊説家の腹の据わり具合が伝わる。

 そんな張儀も現代中国では果たして生き抜くことができたかどうか。習近平指導部が言論規制を一段と強めている。共産党や政府を批判しようものなら、たちまち拘束されかねない。批判者の舌を抜いてしまおうという荒っぽさだ。

 香港では中国本土の禁書を扱う書店の関係者5人が失踪する事件が起きた。中国当局が関与したとみられ、失踪後に禁書が大量廃棄されたという。秦の始皇帝が実用書以外の書を全て焼き捨て、数百人の儒者を生き埋めにした「焚書坑儒(ふんしょこうじゅ)」を思い起こさせる。

 「毛沢東時代以来の思想統制」との見方もある。その毛沢東は「秦の始皇帝が何だ。(我々は)その上を行くこと百倍だ」と、反革命の知識人らを大量鎮圧したことを誇らしげに語っている。習指導部も形を変えて後を追うのか。

 中国では全国人民代表大会(国会)が閉幕した。直面する経済構造改革が不満を招く課題といっても、批判を許さない強権体質はいかにも危うい。
カテゴリー: 小社会コラム


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