2016.03.18 13:28

小社会 シリアなどから欧州へ大量に流入する難民。その数を…

 シリアなどから欧州へ大量に流入する難民。その数を減らしたいのが欧州連合(EU)各国の本音とされる中、ドイツの難民対策は際立っている。メルケル首相は入国拒否を極力行わず、受け入れる数にも上限を設けていない。

 〈もし私たちが今、苦境にある人たちに優しい顔を向けることで謝罪しなければならないとしたら、そんな国は私の国ではない〉。自らへの批判に対し、そう反論したメルケル氏。なぜこうも寛容になれるのだろう。

 以前からの疑問が解けた。彼女自身の性格もあるのかもしれないが、それだけではない。ドイツ基本法(憲法)は政治的迫害を受けた者の保護を定めている。何のことはない。憲法にのっとった当たり前の措置だった。


 ではこの条文が生まれたのはなぜか。それはやはりナチス時代のユダヤ人迫害に行き着く。虐げられた人々を庇護(ひご)することは、人類史上の悲劇を教訓にドイツ人の政治的DNAに組み込まれたもの。日本人にとっての戦争放棄を定めた憲法9条と同じなのかもしれない。

 その寛容政策が崖っぷちという。昨年だけで難民ら109万人が流入。治安や財政面で不安、不満が高まり、先ごろの州議会選では受け入れ反対の政党が躍進。メルケル氏の孤立が深まっている。

 憲法の理想に現実を近づける努力を続けるか。それとも理想を現実に合わせて妥協するのか。同じ悩みを抱える日本も無関心ではいられない。
カテゴリー: 小社会コラム


ページトップへ