2016.03.16 10:21

宿毛市民が地域を囲む堤防に疑問の声 高知県があす説明会

宿毛市片島で開かれた住民説明会(2月上旬、片島公民館)
宿毛市片島で開かれた住民説明会(2月上旬、片島公民館)
 高知県が宿毛市沿岸で計画している堤防の新設・かさ上げ案(延長計10キロ)に対し、港近くの地区を中心に疑問の声が上がっている。地震後の長期浸水軽減が目的だが、2015年夏から各地で開いている地元説明会などを通じ、住民からは高い堤防に囲まれる抵抗感、「建設のデメリットも考えて」などの意見が出ており、高知県は17日に市全域が対象の説明会を開く。

 計画によると新田、高砂、片島、大島、大深浦、西町の沿岸、計約7キロにわたって堤防を新設・かさ上げ(高さ最大2・5メートル)し、耐震化も施す。市街地に近い松田川両岸(計約3キロ)の堤防も耐震化やかさ上げを行う。総工費は100億円規模で国の「高潮対策事業」などを導入し、事業費負担は約4割が高知県、1割ほどが宿毛市の負担となるという。

 最大2・5メートルとした高さの根拠は、マグニチュード(M)9級の地震によって市街地が最大約2・4メートル地盤沈下するという内閣府の想定。海水面より低い場所ができるため、堤防最上部が平均満潮位より50センチは高くなるよう設定し、海水が市街地に入ることを防ぐ。

 一方、高知県幡多土木事務所宿毛事務所の依岡隆所長によると、M9級の地震を想定した設計では「膨大な予算が掛かる」ため、堤防はM8・4級を想定した強度としている。2013年11月、堤防などの設計基準となる津波水位をまとめた「高知県地震・津波防災技術検討委員会」も、時間や費用の面から、発生頻度の高い「宝永南海地震」(M8・6)相当を想定している。

 依岡所長は「(M9級でも)傾いて数十センチ低くはなるが、倒壊はしない」としている。

 また堤防に設けるゲート(設置数未定)は「できる限り閉める」(高知県担当者)としており、2月に開かれた片島地区の2度目の説明会では、住民から「船を使う人の負担が重くなる」「消火時の給水が心配」など日常生活を不安視する意見が出た。

 高知県側はさらに、津波で家屋、船舶などの漂流物が衝突することは想定しておらず「(堤防が)壊れないとは言い切れない」と発言。住民からは「残らなかったら意味がない。建設の目的をどこに置いているのか」などと疑問の声が上がった。

 依岡所長は取材に対し「高さやゲートについてはこれから話し合い、耐震化だけ行うことも可能。高知県が強行しているわけではない」と話している。

 沿岸の堤防をめぐっては、東日本大震災の被災地を中心に議論が起こっている。2月には安倍昭恵首相夫人が仙台市で講演し「防潮堤によって景観も失われ、生態系が変わってしまうこともある」と発言している。

 高知県は住民の要請を受け、市全域を対象にした説明会を17日午後7時から、宿毛市中央2丁目の宿毛文教センターで開く。

カテゴリー: 環境・科学政治・経済幡多


ページトップへ