2016.03.11 09:04

小社会 過日の本紙に「東日本大震災5年 私の復興 私の思い…

 過日の本紙に「東日本大震災5年 私の復興 私の思い」と題した特集記事が出ていた。被災者の暮らしと心の復興がどの程度進んでいるか、震災前を100点として点数で示してもらったものだ。

 22人の回答者がつけた点数は10点から100点満点まで。最低と最高をつけた男性はともに福島県の沿岸部で暮らしていたが、原発事故で避難を余儀なくされた。同じ70歳代ながら、なぜこれほど大きな違いが出たのか。要因の一つは避難先での暮らしのようだ。

 大震災では多くの人が家族や友人を失い、暮らしの基盤を奪われた。死者・行方不明をはじめ、被災状況を示す数字はあっても、個々の被災者の悲しみや喪失感を全てすくい上げるのは難しい。ただし、そこへの目配りがなければ生活の再建などは困難だ。

 仙台市在住の漫画家いがらしみきおさんは「5年を経過した震災の記憶は、4年目より間違いなく薄らいでいます」と記す。直接の体験者でさえそうなのだから、遠く離れて暮らす私たちの記憶が風化していくのは避けられまい。

 それでも、いがらしさんはいう。「忘れることは一生ないでしょう」。その忘れ得ぬ個々の記憶を語り継ぎ、後代にしっかりと残していくことができるか。大震災の発生から5年が過ぎ、これからますます重要になるのは間違いない。

 南海トラフ巨大地震が待ち受ける私たちにとっても、記憶と教訓の受け渡しが鍵を握っている。
カテゴリー: 小社会コラム


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