2016.03.06 14:07

森林鉄道と地域生活が研究出発点 高知県安田町でシンポジウム

森林鉄道と地域生活について考えを深めたシンポジウム(高知県安芸郡安田町正弘)
森林鉄道と地域生活について考えを深めたシンポジウム(高知県安芸郡安田町正弘)
 高知大学の研究者らでつくる高知人文社会科学会などが3月5日、高知県安芸郡安田町正弘の集落活動センター「なかやま」で、「魚梁瀬森林鉄道を通じた地域再考と地域振興」と題した初のシンポジウムを開催した。旧魚梁瀬森林鉄道の調査報告などが行われ、関係者は「森林鉄道と地域生活の研究を進める一歩としたい」と話している。 

 旧魚梁瀬森林鉄道が1963(昭和38)年に廃線となり、当時を知る林業関係者の高齢化が進んでいることから、高知大学関係者らが2015年8月から聞き取り調査を開始。調査の経過報告も兼ねてシンポジウムを企画し、地元住民ら約140人が聴講した。

 岩手大の脇野博教授が基調講演し、各地の森林鉄道が木材を河川に流して搬送する「河川流送」の代替手段となる一方、伐木などの技術は藩政時代のものが残っていたと解説。「森林鉄道は近世から近代への移行期の、過渡的技術だった」との視点を紹介した。

 また高知大学の赤池慎吾特任講師は、1920年代から1930年代にかけて、高知営林局管内では魚梁瀬営林署の伐採量が約30%を占め、重要な地域だった点を説明した。聞き取り調査の結果も踏まえ「地域住民と営林局の両方の視点から研究を進めていくことが重要」と強調していた。

 会場では高知県内各地の森林鉄道の写真約100枚が展示されたほか、森林鉄道の写真のスキャニングとデータ保存も行われ、参加者から貯木場や営林署などの写真約30枚が集まった。

 高知大学人文学部長の吉尾寛教授は「地域住民と深く情報交換しながら、立体的な研究を進めていきたい」と意欲を見せていた。

カテゴリー: 社会環境・科学安芸


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