2016.03.05 13:37

高知大学地域協働学部1期生が香南市の西川地区で実習

ミカンジャム作りに励む学生(2015年12月、高知県香南市香我美町西川地区)
ミカンジャム作りに励む学生(2015年12月、高知県香南市香我美町西川地区)
集落活動センター舞台に交流 地域新聞で活動可視化
 高知県香南市の北東部に位置し、過疎化と高齢化の進む香我美町西川地区。地域協働学部1期生の11人はこの地区で、2013年に中山間対策として発足した集落活動センターの活動に触れながら、地域の特徴や課題を探った。

 西川地区には2016年1月現在、171世帯398人が暮らす。高齢化率は49%。センターは、住民組織の推進協議会が主体になり、2013年4月に西川公民館内にオープンした。地域住民約40人が活動を行っている。

 運営組織は「夢部会」「支え合う部会」「集う部会」の3部会で構成。夢部会は休耕田などの解消を目指してフキなどの栽培をしているほか、香南市特産の山北ミカンを使ったジャムの商品化にも挑戦している。支え合う部会は高齢者らを対象にしたサロンを開き、集う部会は「西川花公園」の整備や管理をしている。

 花公園は約70アール。春はハナモモや桜の花に彩られ、2015年春には、西川地区の人口の約15倍に当たる6千人が訪れるなど成果を挙げている。

 しかし、推進協議会の黒岩靖夫会長(74)は活動に参加するメンバーの固定化を懸念。「若い人の知恵と汗をもらって、日常的に多くの人に来てもらえる場所をつくりたい」と期待を込める。

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 学生は2015年10月から現地での実習を開始。フキ栽培の手伝いや菜の花の種まき、ソバの収穫などの農業体験を通して住民と交流した。農作業が初めてという学生も多い。農機具一つ取っても学生にとっては珍しく、新鮮だったという。

 また、ミカン農家の見学やミカンジャム作りも体験。その過程では、ミカンジャムが商品化されるに至るまでの話し合いを通じて、住民同士の交流関係にも広がりができたなど、センターでの活動が地域に与えた影響を学んだ。

 体験と並行して、各部会長や香南市の地域支援課の職員らに数回にわたって現状の聞き取りも行った。

 学生は、西川地区は以前から住民主体の活動があったことを学習。「イベントがあればみんながそろって来てくれる」など地域で世代間の交流が続いていることも知った。

 一方で、高齢化や人口減少のほか、新たな商品開発をどう進めればいいかといった不安や、メンバーの固定化など、見えてきた課題も多くあった。

 学生の米沢望さん(19)=三重県出身=は「地域の人がみんなで楽しもうという気持ちが見えた。住民の仲の良さ、つながりの強さが強み」と分析。「防災では、もっと互いに助け合う方法を考えないといけない」など、センター以外の課題にも目を向けた。

 学生たちは、これらの活動や感じたことを、センターが西川地区に毎月発行している地域新聞で紹介することに。11月から新聞作りの基礎を学び、3号分を担当した。

 地域協働学部の霜浦森平准教授(41)は「論文ではなく、分かりやすく大学側の取り組みを地域に伝える媒体として新聞は大事」と指摘。「活動を可視化することで、地域の人にも新しい気付きがあり、刺激になる」と話す。

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 「花公園に植樹をしてリピーターを増やしたい」

 「花公園の植物を活用した体験イベントや商品開発もできる」

 1月中旬。実習の終わりに開かれた現地報告会では、学生の側から、今後取り組みたい具体的な提案もあった。

 その後、部会ごとに分かれた協議の場でも学生は積極的に発言した。「失敗してもいいき、商品開発をやってもらったら地域のおばちゃんたちも元気になる」という住民の声に、「(他地域に入っている学生でも)商品開発に興味のある子を交ぜたら面白い」などの声が出た。

 黒岩会長は「地域のメンバーからは『若返る』という声も聞き、活性化になっている。住民だけでは固定化した考えになってしまうが、学生の新しい発想でいいものができることに期待している」と話す。

 霜浦准教授は「地域理解の目的は、状況や課題、取り組みをまず見ること。情報量だけだとすごく面白い話が集まった。これを分析して一般論としてどう議論するかが残された宿題」と総括。「今は地域との関わり方に慣れて、自分のやりたいことが見えてくる時期。2年生でもっと主体的に動く学生が出てきてほしい」と話す。
 これから住民と学生がどう関わっていくのか―。互いの交流を通して生まれた“気付き”は、地域のあり方を考える上での第一歩だ。今後の可能性を秘めて、1期生の実習が終わった。


「今、何をすべきか」意識 米沢望さん

 「自分が今、何をすべきか。…そのことを常に考えて行動しなさい」

 この言葉は、西川地区集落活動センターに関わっている行政の方が、ヒアリング調査の中で学生に対して言った言葉です。サービスラーニングでは地域の方と作業するのですが、徐々に、作業を与えられて行動するだけでは、自主的に地域を理解することはできないと思い始めました。

 実は西川地区に入っていた学生のうち、私を含めた多くが、将来、行政職に就きたいと考えていました。それもあってか、初めに書いた言葉が私の中で強く胸に残りました。

 その言葉を聞く前は、「ただ必修科目だってこともあるし…」と考えていた部分もありました。ですが、言葉を聞いてから、学生が地域に入って地域の方たちと一緒に行動するときには、地域の方たちが場所や時間を割いてくれていることに気付きました。

 学生だけの自己満足に陥ることがないよう、2年生以降の実習でも地域に関わっていこうと思いました。


五感発揮し現場で学ぶ 富岡優太さん

 私がこの1年間を通して感じたことは、現場に行くことの大切さです。

 大学では、事前学習という形で地域の概要などについて学ぶことができます。ですが、実際に地域に行ってみないと分からないことがあまりにも多いことに気づきました。

 私は主に、香南市西川地区でお世話になりました。現場に行って初めて分かったこととして、西川地区は地域住民の「つながり」がとても強いということがあります。

 住民同士の「つながり」が強いということは事前学習のみでは知り得ないですし、口から伝えられても正直ピンとこないと思います。地域の人の関係性、町の雰囲気は自分の五感を使ってこそ分かることだと感じました。

 現場に行かないと見えてこない魅力や課題が沢山あることに気づき、あらためて現場で学ぶことの大切さを感じました。

 私の中で「現場主義」という視点を大事にして、今後もさまざまなことを学んでいきたいです。

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カテゴリー: 主要教育大学特集教育


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