2016.09.30 08:00

小社会 明治期に活躍した法学者穂積陳重は、民法その他の…

 明治期に活躍した法学者穂積陳重(ほづみぶしげ)は、民法その他の法典の起草にも参画した先駆者の一人。法律の多くは西洋からの輸入で、先輩たちは用語の翻訳に苦労したと「法窓夜話」に書いている。

 例えば本県がその歴史を誇る「自由民権」。穂積は「自由」という新語を一般に広めたという意味で、「西洋事情」を著した福沢諭吉を「開祖」とする。それでは「民権」というフランス語の訳はどうやってできたのか。

 その主役は明治初期、民法編さんの会の会長となった佐賀出身の江藤新平だ。会員のある博士が「民権」を訳出したが、日本には人民に権利があるという発想もなかった時代。「何の事だ」と議論は沸騰した。

 その時、江藤いわく。「活(い)かさず殺さず、姑(しばら)くこれを置け、他日必ずこれを活用する時あらん」。民権がどういう意味か、いつか理解される日が来るまでそっとしておこう。「その日」はのちの民権論の台頭で実現したが、江藤は征韓論でつまずいて下野し、佐賀の乱で刑死した後だった。

 穂積は著書で江藤の含蓄深慮の言葉を評価し、その先見の明を惜しんでいる。「自由」が当たり前のように語られる現代。「民権」は憲法の「国民主権」に思想の水脈を流し込んだ。先人たちの労苦を思えば、用語一つにも重い意味がある。

 思想・良心の自由、表現の自由、学問の自由…。憲法にいう国民の「不断の努力」でいつまでも守り続けたい。


9月30日のこよみ。
旧暦の8月30日に当たります。きのと う 六白 先勝。
日の出は5時59分、日の入りは17時52分。
月の出は5時02分、月の入りは17時34分、月齢は28.7です。
潮は大潮で、満潮は高知港標準で5時24分、潮位189センチと、17時45分、潮位192センチです。
干潮は11時33分、潮位48センチと、23時51分、潮位54センチです。

10月1日のこよみ。
旧暦の9月1日に当たります。ひのえ たつ 五黄 先負。
日の出は6時00分、日の入りは17時50分。
月の出は5時57分、月の入りは18時06分、月齢は0.1です。
潮は大潮で、満潮は高知港標準で5時59分、潮位192センチと、18時10分、潮位194センチです。
干潮は12時04分、潮位51センチです。

カテゴリー: 小社会コラム


ページトップへ