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2021.10.17 08:00

【不登校最多】SOSの声を上げやすく

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 文部科学省が行った調査で2020年度、年間30日以上欠席して「不登校」とみなされた小中学生と、小中高校生の自殺がいずれも過去最多だったことが分かった。新型コロナウイルス感染への不安などから30日以上登校しなかった小中高校生も約3万人に上っている。
 コロナの感染拡大に伴う生活の変化が、子どもの心身に大きな影響を及ぼしていることが改めて浮き彫りになった格好だ。今後も流行が再来する可能性は高いと言わざるを得ない。子どもが安心できる居場所づくりが求められている。
 全国的に近年、不登校は増加傾向にあるが、昨年度は小中学生で19万6千人余りとなった。前年度より8・2%の急増である。本県でも10・8%増え、1238人に上った。千人当たりの人数は全国で最も多い。身近な問題として正面から向き合う必要がある。
 学校側が把握した要因は全国、県内とも「無気力、不安」「生活リズムの乱れ」の割合が高かった。
 昨春の一斉休校のほか、学校行事も次々と中止となった。登校しても給食は黙って食べ、遊ぶ際にも「3密」にならないよう気をつけないといけない。
 感染防止を図るにはやむを得ない対応でも、子どもにとって学校での楽しみが以前より減ったのは間違いない。様変わりした生活に気力を失ったり、不安につながったりする面は否めない。
 看過できないのは、かけがえのない命を自ら絶った子どもが増えていることだ。極めて深刻な状況と言わざるを得ない。前年度から98人も増え、415人に上った。学校側が把握できていない事例もあり、警察庁などのまとめでは507人(暫定値)に上るという。
 むろん、さまざまな要因が絡み合っていようが、増加した背景にはコロナ禍の影響もあろう。
 感染拡大で子どもは外部との接触が制限され、親も在宅ワークが増えたり、収入が減ったりしたケースも多いに違いない。専門家は貧困や虐待といった家庭環境に問題があった場合、家庭内で居場所や逃げ場がなくなる恐れを指摘する。
 ワクチン接種が進んだこともあって、コロナ禍は小康状態にあるとはいえ、流行の「第6波」も予想される。感染予防とともに、子どもの心身をその影響からどう守るか。感染が下火のうちに十分な備えを整えておきたい。
 県教委が不登校の発生率が高い小中20校に専門教員を配置した対応は一つの参考になろう。3日連続で欠席した場合に家庭訪問するなどした結果、発生率がおおむね低下したという。孤立感を深める前に対処する重要性を示していよう。SOSの声を上げやすい環境が子どもの安心感につながる。
 学校だけでなく、家庭や地域が一体となって、子どもの変化に即応できる態勢を広げる必要がある。コロナ禍で子どもたちを孤立させてはならない。

高知のニュース 社説

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