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2021.10.12 08:45

森木「“火の玉”に近づきたい」 球児に憧れ阪神へ プロ野球ドラフト

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阪神から1位指名を受け、高知高のチームメートと喜びを分かち合う森木大智=中央(高知市旭天神町=森本敦士撮影)

阪神から1位指名を受け、高知高のチームメートと喜びを分かち合う森木大智=中央(高知市旭天神町=森本敦士撮影)


 藤川球児に憧れた少年が、虎の縦じまに身を包む―。「高校ビッグ3」の一人として注目された高知高の森木大智。1位で指名したのは、野球を始めるきっかけをくれた藤川と同じ阪神だった。「相手を圧倒するストレートを目指したい」。高知県が育んだ剛腕は、力強く誓った。

 ドラフト会議が始まる20分前、会見場に入った森木。50人を超える報道陣と6台のテレビカメラに囲まれ、緊張した面持ちで席に着いた。最初の1位指名で名前が呼ばれなくても、阪神が外れ1位で指名しても、表情は全く揺らがなかった。

 感情が爆発したのは、チームメートが待つ別室に移動してから。仲間から祝福を受け、笑顔をはじけさせた。事前取材で「小さい頃は阪神が好きだった。甲子園に連れて行ってもらったこともある」と明かしていただけに、喜びはひとしおだったろう。

 この3年間、森木は常に県高校野球界の話題の中心にいた。1年生ながら決勝のマウンドに立ち、ホームランを放り込んだ初めての夏。明徳の代木と日没まで投げ合った2年の秋。最速154キロを記録し、四国の頂点に輝いた3年の春―。

 さまざまなシーンの中で、森木が最も印象的だったと振り返るのは2年秋の四国大会、高松商との1回戦だ。この試合で先発した森木は精彩を欠いて5失点。チームはセンバツ甲子園への道を断たれた。直球と並んで投球の軸だったカーブが決まらず、それを補う引き出しがなかった。

 「自分がやってきたことの詰めの甘さを思い知らされた」。敗れて迎えた冬、森木は自分自身と向き合うように、じっくりと鍛錬を積んだ。カーブやスライダーなど5種類の変化球の精度はぐっと上がり、特にカットボールは「夏の明徳戦でも左打者のインコースへ有効に使えた」。

 甲子園には届かなくても、そうやって成長を重ねた。自分に何が足りないかを考える過程を含め、「すごく大きく成長できた3年間」と言えるゆえんだ。「中学で150キロ」の衝撃が強すぎて「早熟だった」との声もあるが、いやいや森木はまだ「未完」なのだ。

 ずっと目標に掲げていた「高卒ドラ1」をかなえた。それでも「まだまだ弱い部分はある。ここから、もっともっとやらなくちゃいけない」と気を引き締め、「日本を代表する投手になりたい」と意気込んだ。今度は自分が、高知の子どもたちに夢を与える番だ。(仙頭達也)

「苦しい経験糧に頑張る」
 系列校の高知学園短大で、取材に応じた森木の一問一答は次の通り。

 ―今の心境は。

 「選ばれるか不安な気持ちもあったけど、ほっとしている」

 ―阪神の印象は。

 「今年は投打にレベルが上がっていて、いい成績を残している。ファンの方々もすごく応援してくれる球団だと思う」

 ―かつて阪神に所属していた藤川球児はどんな存在か。

 「小さい頃からあこがれの存在。“火の玉ストレート”に近づけるように努力したい。(同じユニホームを着るのは)とてもうれしい」

 ―どんなピッチングをしたいか。

 「まずは阪神の勝利に貢献できる投球をしたい。自分のピッチングをすることが大前提。それができるように一日一日を大事にしたい」

 ―対戦したい打者は。

 「具体的には浮かばないけど、1軍で結果を残しているバッターと対戦したい」

 ―高校3年間を振り返って。

 「甲子園に行けず、うまくいくことが当たり前じゃない、と知らされた苦しい3年間だった。この経験を糧にして頑張っていく」

 ―県民の期待にどう応えたいか。

 「チームのためにやっていくことが、今までお世話になった方への恩返しにもなると思うので、結果を残していきたい」

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