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2021.09.29 08:00

【緊急事態解除へ】慎重にコロナとの共存を

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 専門家は新型コロナウイルス感染の「第6波」を不可避とみている。「第5波」で浮き彫りになった課題を解決し、慎重にコロナとの共存を図らなければならない。
 政府は、19都道府県に発令中の緊急事態宣言を期限の30日で全面解除することを決めた。8県に適用中のまん延防止等重点措置も30日で全て終了。宣言と重点措置が全国のどこにも出ていない状況はおよそ半年ぶりになる。
 新規感染者が減ってきたのは確かだ。医療提供体制の逼迫(ひっぱく)度合いが改善し、自宅療養者数も大幅に減っている。「自粛疲れ」もありながら、行動制限に協力してきた国民の努力があってこそだろう。
 政府は解除した地域で引き続き、飲食店の営業時間短縮やイベントの人数制限を可能とした。今後1カ月をめどに、そうした行動制限を段階的に緩和する方針だ。
 飲食や観光といった苦境にある業界の忍耐にも限界があろう。感染の再拡大を防ぎながら、社会経済活動との両立を目指すのは理解できる。
 ただ、第5波の危機的状況に伴う反省点を忘れてはならない。7月ごろからの第5波は、感染力が強いデルタ株が猛威をふるい、8月半ばのピーク時には1日の新規感染者が全国で2万5千人を超えた。
 各地で医療提供体制が逼迫して、感染しても入院できない状況になった。自宅療養者は3週連続で10万人を超え、急変して亡くなるケースも続出した。若い世代の重症化や死亡も相次いだ。
 今後も、コロナの流行が繰り返すことを想定した医療提供体制を構築しておくべきだ。病床や医療人材の確保は当初から必要性が指摘されてきたが、十分に対応されてこなかった。
 厚生労働省は第6波の到来に備え、既存の医療機関に病床確保を求めるだけでなく、体育館などを利用した臨時医療施設の拡充にも力を入れるようだ。これまでの課題を踏まえた対応を求めたい。
 また国民の側も、今回の全面解除を「元の生活に戻る」と捉えて感染防止策を緩めれば、リバウンドはすぐに起きかねない。行動制限の全面的な緩和については、専門家の慎重な意見が根強い。
 政府は感染防止と経済の両立に向け、ワクチンの2回接種や陰性の証明書を活用することを検討している。来月からは飲食店やライブハウスで実証実験を行う。
 先行する欧米では飲食やスポーツ観戦時の安心につながる半面、提示の義務化には反対する声も多い。さまざまな事情でワクチンを打てない人らもおり、差別につながらないような配慮が欠かせまい。
 今後もコロナと共存せざるを得ない状況が続くだろう。ワクチン接種は進み、この感染症に対する国民の知識や対応力は上がっている。治療方法の進歩など好材料もある。
 県内でも引き続き警戒を怠らないようにし、日常生活の一部として感染防止策を徹底したい。

高知のニュース 社説

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