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2021.09.28 08:00

【町田市小6自殺】端末の安全利用へ点検を

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 国が進める情報通信技術(ICT)を活用した学習のため、県内でも小中学生に1人1台のタブレット端末などが配備された。その端末が不適切に使われる恐れはないか。県内の学校や教育委員会も管理態勢を総点検する必要がある。
  タブレット端末で悪口が送信されるなどした結果、いじめを苦にした子どもが自殺してしまう悲劇が東京都内で起きた。
  町田市立小6年だった女子児童が昨年11月、同級生から「いじめを受けていた」との遺書を残して自ら命を絶った。
  両親らが記者会見して明らかにした。それによると学校は昨年9月、女子児童が学校のアンケートに友人関係に悩みがあると回答したことで、いじめを把握していた。
  しかし、当事者同士で解決したとして両親に報告していなかった。伝えたのは女子児童の自殺後で、両親は学校や市教委の説明に納得していない。市は新たに第三者委員会を設け、自殺の経緯やいじめとの因果関係を調査する。
  両親は「端末がいじめの温床になった」として、学校の管理態勢などを批判している。専門家も、端末のいじめ対策が不十分だった可能性を指摘している。
  友人らの証言によると、端末で言葉をやりとりするチャット機能に「きもい」「死んで」といった女子児童への悪口が書き込まれ、本人も目にしていたという。
  学校側はそうした使い方を見過ごしていた上、個人情報の管理態勢も不適切だった。全員のパスワードが共通の数字に設定され、他人になりすまして悪口を書き込めたほか、ほかの子どもも閲覧できた。
  女子児童は遺書に複数の同級生の名前を挙げ、「おまえらのおもちゃじゃない」と苦しみを記している。
  教育現場などでは当初から、端末の配布がいじめにつながるのではないかとの懸念もあった。子どもの間でインターネット上のいじめが年々深刻になっているためだ。
  文部科学省によると、いじめの様態で「パソコンや携帯電話などでの誹謗(ひぼう)中傷」は2019年度、1万8千件近くに上っている。
  他人から見えづらい会員制交流サイト(SNS)で主に行われ、早期発見が難しい。いじめが深刻になってしまう前に食い止める初期対応が課題になっている。
  今やネットの利用率は中高校生で100%に近く、小学生でも9割を超える。連絡などの日常生活に欠かせず、ネットいじめに巻き込まれた場合、家に帰ってもいじめがついてくるような状況になる。
  学校には端末がいじめなどに悪用されることを防ぎ、どの子どもも安心して学習に活用できる環境を整える責任があろう。
  端末の活用や悪用防止策については、保護者とも共有したい。端末は家に持ち帰っての活用も想定されている。家庭で子どもの使い方を把握した上で、ネット上のモラルについて話し合うことも大切だ。

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