2021.09.21 08:00

【児童虐待最多】DVと一体的な解決を

 全国の児童相談所が児童虐待として対応した件数が2020年度、初めて20万件を超えたことが分かった。30年連続の最多更新である。
 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、児童虐待のリスクが高まっているとの見方がある。在宅時間が長くなり、経済不安やストレスが暴力などの引き金になっている。
 配偶者間のドメスティックバイオレンス(DV)と同時に起きている場合も多い。家庭内暴力として一体的に解決していく必要がある。
 県内でも20年度に認定された児童虐待は583件と過去最多だった。
 前年度からの増加率は27%と全国で最も高かった。昨年5月下旬に緊急事態宣言が明けた後、県内2カ所の児童相談所に対して、虐待の通告が目立って増えたという。
 県は「本県は経済的に厳しく、コロナ流行による収入減の影響から家庭内暴力が増えた」とみている。
 子どもの活動範囲も狭まっているコロナ下では、虐待が早期発見されにくい「潜在化」も起きている。日常的に子どもと接する学校や保育所が異変に気づき、通告して対応につなげる重要性が増している。
 児童虐待とDVは密接に絡み合っている。子どもの前で配偶者やきょうだいらに暴力をふるう「面前DV」も心理的虐待に当たる。
 内閣府の調査によれば、19年度のDV相談者の家庭状況で、子どもへの虐待もあるとみられる割合は、未成年の子どもと同居しているケースの6割に上った。
 DVと児童虐待は一体的に対応する必要がある。しかし、児相と配偶者暴力相談支援センターなどの連携は進んでいないとされる。まずは情報共有を密にして、それぞれの専門性を生かした連携強化の仕組みをつくりたい。
 中でも、重大事案になりがちな0歳児の虐待被害を食い止めたい。厚生労働省の専門委員会が19年度に起きた虐待死を検証した結果、心中以外の死亡例では、0歳児が約半数を占めて最多だった。
 母親が社会的に孤立しているケースが少なくない。妊婦健診の未受診や「予期しない・計画していない妊娠」だったことも目立った。
 赤ちゃんの命を守り成長を支えるため、関係機関が妊娠期・周産期から支援し、中長期的な見守りの体制を構築することが欠かせない。
 一方、厚労省の統計では、虐待の加害者として「実父」の割合が年々上昇している。
 赤ちゃんの虐待死事件では、父親による暴行も多い。専門家は「母親と同様に父親も育児の影響により、ストレスを感じ、うつにもなり得る」と指摘する。
 自治体による出産前後の育児支援は母親を対象としてきた。今後は虐待予防のためにも、父親を含めた家庭全体の支援を目指す必要がある。
 父親にも育児相談の機会を設け、乳幼児健診への参加も促すことなどが第一歩だろう。子育てがスムーズに行えるよう手助けし、虐待の小さな芽も摘んでいきたい。

カテゴリー: 社説

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