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2021.09.15 08:00

【若年層の接種】加速へ正しい情報発信を

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 政府は10~11月に希望者への接種完了を目指している新型コロナウイルスワクチンの接種事業で、人口の5割以上が2回の接種を終えたと発表した。
 ただ、社会全体で感染が広がりにくくなる集団免疫を達成するには、少なくとも8~9割まで押し上げる必要があるとされる。感染対策と経済を両立させる上でも重要な要素になろう。
 接種率は年代によって差がある状況だ。今後は感染抑制の鍵を握る若年層の接種をどう加速させるかが課題になる。
 国内のワクチン接種は今年2月に始まった。65歳以上の高齢者層は重症化リスクが高いとして、優先して進められた結果、接種率は既に9割近くに達している。
 リスク軽減の効果はデータにも表れている。厚生労働省によると、4~5月の「第4波」と比べ、現在の「第5波」では同じ期間で感染者が3倍弱に増えたにもかかわらず、死者は6割減った。
 一方、64歳以下の接種率はまだ3割に届いていない。特に若年層は打ちたくても、接種の機会が後回しになった経緯がある。東京都が若者向けに開設した接種会場では、希望者が殺到して混乱するケースもあった。希望する人が一刻も早く打てるような体制を整えたい。
 全国の自治体では、30代以下の接種が本格化している。共同通信の調査によると、47都道府県庁所在地のうち45市区が若者への接種促進策に取り組んでいるか、検討中であることが分かった。
 自治体によっては学校や会社の帰りに打てる夜間会場や、ショッピングモールに集団会場を設けている。各地で地域の実情に応じた接種促進策を講じる必要があろう。県内でもスムーズに打てるよう、接種会場の設け方などを工夫したい。
 国や自治体は、科学的根拠に基づく正しい情報が若い世代に届くように発信することも欠かせない。
 共同通信の調査では、自治体が挙げた課題で最も多かったのが「副反応やワクチンに関するデマへの懸念払拭(ふっしょく)」、次いで「きちんと届く情報提供」だった。
 若年層にワクチン接種に消極的な人も多いとされる背景には、副反応への不安も指摘されてきた。海外でも同様の状況があり、米国や英国では若者の接種控えが一因となり、接種率が頭打ちになる「7割の壁」が問題になっている。
 「ワクチンデマ」の影響も指摘されている。インターネット上で「ワクチンを打つと不妊になる」というデマも拡散しており、厚労省はウェブサイトで否定している。
 打つかどうかは個人の判断が尊重されるべきだとしても、根拠があやふやなSNS(会員制交流サイト)などの情報を信じ込んでしまうことがないように注意したい。
 若年層の重症化も増えている。後遺症のリスクを知っておくことも大切だろう。正確な情報に基づき、自分の健康を守りたい。 

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