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2021.09.14 08:40

高専開発の人工衛星、南国市の海洋堂SFからリアルタイム観測 全国初、公開型受信局

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完成した衛星受信局で、本格的な観測に備える今井一雅・高知高専客員教授=右=と大野敏光さん(南国市の海洋堂SpaceFactoryなんこく)

完成した衛星受信局で、本格的な観測に備える今井一雅・高知高専客員教授=右=と大野敏光さん(南国市の海洋堂SpaceFactoryなんこく)

南国市と連携 「人材育成につながれば」
 高知高専(南国市物部乙)など全国10高専が開発した超小型人工衛星「KOSEN―1」の観測拠点となる受信局がこのほど、同市大そね甲の「海洋堂SpaceFactoryなんこく」に完成した。宇宙研究を広く知ってもらおうと、市と同校が連携。10月1日の衛星打ち上げ後は一般の観測体験会も開き、全国に例のない公開型受信局として運営する。

 受信局は「海洋堂―」の3階、宇宙船のコックピットを模したガラス張りのスペースに整備。市が478万円をかけて無線機やモニターを構え、建物屋上に高性能アンテナを設置した。

 観測するのはアマチュア無線の周波数帯を利用した衛星で、高専衛星のほか、世界各国の民間研究機関や大学などが開発した衛星も対象となる。北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)が公開している周波数情報などを基に、モニターに各衛星の軌道や現在地をリアルタイム表示。国際宇宙ステーション(ISS)のライブ映像なども見ることができる。

海洋堂SF屋上のアンテナ。方位を制御して衛星からの信号をキャッチする

海洋堂SF屋上のアンテナ。方位を制御して衛星からの信号をキャッチする

 研究観測は衛星開発を指導した高知高専の今井一雅客員教授(66)や高知高専生が担う。同校と連携し、吾川郡仁淀川町で米航空宇宙局(NASA)公認の木星電波観測に取り組む大野敏光さん(67)も協力する。

 現在は来月の観測開始に向けてアンテナ制御など最終調整中。実際に日本上空を通過する衛星から「ピッピッ」「ウィーン」というビーコン信号をキャッチしている。信号を解析すると、衛星の温度や不具合などのチェックが可能。軌道などの条件にも左右されるが、高専衛星は1日に3回程度は好条件で受信できそうだという。

高知高専の学生らが手掛けた人工衛星「KOSEN―1」=手前。10月1日に宇宙に打ち上げられる予定だ

高知高専の学生らが手掛けた人工衛星「KOSEN―1」=手前。10月1日に宇宙に打ち上げられる予定だ

 13日に受信を体験した平山耕三市長は、「宇宙を身近に感じられる。子どもたちの探究心を育む場所に」と期待。今井客員教授は「将来は子どもたちも(衛星制御の)管制コマンドが送れるようになればおもしろい。宇宙工学や電子工学の未来を担う人材の育成につながれば」と話している。「海洋堂SF」は26日まで休館中。(横田宰成)

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