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2021.09.12 08:00

【野党共闘】信頼に足る政策を示せ

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 政権交代を言うのであれば、批判票の受け皿にとどまらず、現政権とは別の道があるという政策を有権者に浸透させる必要がある。
 立憲民主党は、次期衆院選で政権交代を実現した場合、新型コロナウイルス対策など直ちに取り組む7項目の政権公約を発表した。
 コロナ対応のため首相直轄の司令塔組織を創設し、事業や生活の支援策として少なくとも30兆円規模の補正予算を編成する。「後手」批判を浴びる自公政権との違いを際立たせる狙いのようだ。
 このほか菅義偉首相が日本学術会議会員への任命を拒否した学者6人を任命。森友・加計学園、桜を見る会問題を巡る真相解明チームを設けることなども打ち出した。立民は、今後発表する政権公約で掲げる政策や法案も順次実施するという。
 野党勢力は、菅首相の退陣表明で次期衆院選の戦略・戦術の練り直しを迫られている。自民党の「ポスト菅争い」が過熱すれば、埋没しかねない状況にあるためだ。 
 内閣支持率が低迷する菅政権に対し、立民や共産、国民民主、社民の4野党は4月の衆参両院3選挙で候補者を一本化して全勝。8月の横浜市長選も快勝した。
 しかし、前哨戦の連勝は「敵失」が続いただけで、野党に対する有権者の期待感は高まっていないという見方もある。
 共同通信が今月行った世論調査では、立民の政党支持率は12・3%。共産など3野党を加えても計17・6%で、46・0%の自民党の半分にも届いていない。
 政権批判だけではなく、有権者が政権を任せるに足ると思える政策を発信できてきたのかどうか。コロナ対策などにとどまらず、経済政策や外交・安全保障、エネルギー政策でも具体的で実現可能な政策、理念の浸透を急がなければなるまい。
 野党共闘のあり方も重要になる。立民と共産、社民、れいわ新選組の4党党首は市民団体の政策提言に署名する形で、次期衆院選に向けた事実上の共通政策に合意した。
 消費税減税や原発のない脱炭素社会の追求、科学的知見に基づくコロナ対策の強化、沖縄県の米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設中止などを盛り込んでいる。
 立民と共産はこれを受け、小選挙区の候補者一本化の調整を進める。
 国民民主は安全保障や原発政策の違いを挙げ、共通政策には参加していない。ただ、小選挙区や比例代表を巡り、立民との共闘は堅持する意向だという。
 立民の枝野幸男代表は、共産とは日米安全保障条約といった社会像の違いがあり、連立政権は考えられないとしている。政権交代を目指すのであれば、国民民主との関係も含め、連立のあり方を整理して有権者に明示する責任があろう。
 安倍、菅両政権で続いた「1強多弱」の中、国会軽視が常態化してきた。野党勢力には信頼できる選択肢を示し、政治に緊張感を取り戻す責任の自覚を求めたい。

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