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2021.09.09 08:37

スマホで「遠隔手話通訳」高知県内で活用拡大へ コロナ診察で昨秋導入、災害時や相談事にも有用

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タブレットを使う遠隔手話通訳のデモンストレーション(高知市越前町2丁目)

タブレットを使う遠隔手話通訳のデモンストレーション(高知市越前町2丁目)

 耳の不自由な人がコミュニケーションを取るための手話を、タブレットやスマートフォンを使ってオンラインで通訳する「遠隔手話通訳」の活用が全国で広がりつつある。本県でも昨秋から、新型コロナウイルス感染症に関する受診時に誰でも遠隔手話通訳を利用できる仕組みを始めており、県は「今後、活用の範囲を広げていきたい」としている。

 聴覚に障害のある人が病院を受診する場合などは、市町村の派遣事業で手話通訳者に同行してもらえる。しかし手話は表情や口の動きも重要な要素で、マスク着用が不可欠なコロナ下では、通訳が同行できないケースが多い。そこで全国的に遠隔手話通訳が広がりつつある。

 本県では昨年度、国の補助を受けて遠隔通訳用のタブレットを14台購入。高知医療センターと県立あき総合病院、幡多けんみん病院には1台ずつ常設し、他の病院の受診希望があれば県職員がタブレットを届ける。利用希望者は県聴覚障害者協会(高知市)に連絡して受診時間などを調整してもらえば、無料で利用できる。

 遠隔通訳は、協会や安芸、幡多の両福祉保健所に配置されている手話通訳者が担当。同協会の竹島春美会長(61)は「コロナ下で健常者と同様に情報を得るために必要な取り組み」と歓迎する。

 ただこれまでの利用申し込みは、聴覚障害のある人にコロナの疑い事例が少なかったこともあるが、4件にとどまる。タブレットを届けたものの病院側が筆記で対応し、遠隔通訳が行われなかったことも。竹島会長は「正しい情報を伝えるために必要なものだと捉えて、(病院側も)積極的に活用してほしい」と話す。

 県は今後、コロナ以外の受診や災害時などにも遠隔通訳の利用を広げたい考え。

 市町村の手話通訳の派遣事業は年間1200件ほど利用されているが、「県内には手話通訳できる人が少なく、すぐに派遣に対応できる人は10人以下」(同協会)。遠隔通訳が広がれば、少ない人数で多くのニーズに対応できるようになり、県障害福祉課は「取り組みを進めたい」とする。

 竹島会長は「ニュアンスや感情など対面でなければ伝わらないこともある。全て遠隔通訳でできると思われると困る」としつつ、「簡単な相談事など、遠隔通訳が役に立つ場面はある」。県内には手話通訳者が不在の地域もあり、コミュニケーションの選択肢が増えることを期待している。(大山泰志)

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