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2021.09.05 08:40

高校生の時差通学、高知の鉄道では効果薄い? 初日は積み残しも【なるほど!こうち取材班】

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午前8時45分ごろ、次々とホームを下りてくる高校生たち(JR高知駅)

午前8時45分ごろ、次々とホームを下りてくる高校生たち(JR高知駅)

 高知県内に新型コロナウイルスの「まん延防止等重点措置」が適用され、高知市内の高校を中心に始業時間を1時間遅らせる取り組みが行われている。通勤通学ラッシュの回避が目的だが、「効果は出ているの?」(市内の60代女性)との声が本紙「なるほど! こうち取材班」(なるこ取材班)に寄せられた。朝の時差通学の風景を見てみると―。

 始業時間を午前8時半から9時半ごろに遅らせているのは、高知市とその周辺の県立16中高。10日まで行われている。

 高知県教委によると、16校で公共交通機関を利用している生徒は約2千人いる。JR約1500人、路面電車230人、バス約150人という。

■「乗れん…」
 時差通学が始まった8月27日朝。JR後免駅で列車を待っていた小津高2年の女子生徒は「ぎゅうぎゅうで乗れんっ」。急いで親に連絡し、車で学校まで送ってもらった。

 普段、通学に使っているのは午前7時43分発。ごめん・なはり線の奈半利駅と、JR土讃線の土佐山田駅から来る各2両が後免駅で連結され、計4両で高知市へと向かう。高知駅には8時に着く。

 女子生徒はこの朝、後免駅で8時39分発の便(奈半利駅発)を待っていた。しかし、普段なら乗客の少ない時間帯だけに、同便はいつもの1両だった。

 既に手前ののいち駅でも乗れない生徒が出ており、後免駅に着いた時点で列車は高校生ですし詰め。同駅でも30人ほどがホームに取り残されたまま出発していった。

 県はJR四国や土佐くろしお鉄道に、時差通学を行う旨の連絡はしたが、車両を増やすなど具体的な協力要請はしていなかった。両社は急きょ、週明けの30日から8時39分発の便を2両に増やし、積み残しは解消された。

 ただ、先の女子生徒は「列車の混み具合はあんまり変わらん。今も学生でいっぱい」。他の生徒も「もともと朝の乗客は学生中心。その学生が一斉に時間を遅くしゆうがやき、変わるはずがない」と、時差通学の効果を疑問視する。

 下校時も同様だ。部活動などが禁止されているため、午後4~5時台の列車に高校生が集中。「前よりめっちゃ混んじゅう。どうにかして」との声も聞かれた。

 高知市の以西はどうか。JR佐川駅から高知市へと通う高2男子は、いつもより1時間ほど遅い便に乗ってみたが、学生で混雑していた。「密を避けるのは無理」と結局、午前7時前の便を利用しているという。

 「子どもの安全を思うなら、対象の学校を分散させるとか、もう少し考えてほしかった」と訴える。

■通勤者は歓迎
 現状、時差通学で「密」解消を実感しているのは、向かう先が学校ではない人たち。

 午前8時の高知駅。列車を降りてきたスーツ姿の会社員は口々に「新学期が始まったのに、人が少ない」「感染が心配だった。ありがたい」と歓迎する。

 くろ鉄担当者は「通勤と通学の層が分かれたことで、多少は乗客がばらけた」とする。

 県教委は「高校生の実感は薄いかもしれないが、車両内の密は一定低減されている」と弁明。「まん延防止が延長となった時には、さらに対策を検討したい」としている。(石丸静香)

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