2021.09.02 08:34
魚信 はっぴぃ魚ッチ 汚名返上のウナギ丼 鏡川はえ縄挑戦記
誰にも期待されなくなった記者に、釣れてくれた1匹
シラスウナギの減少や不透明な流通への問題意識もないではない。が、まずもって値段が高い。子どもたちがかば焼きのうまさに目覚め、再々ねだられてもたまらない。知らずに育ってくれてよろしい。そんな理由からだった。
ところが。この夏、知り合いのご夫婦から天然ウナギのお裾分けを頂いた。仁淀川で捕られた1匹。グリルで白焼きにすると、したたる脂と気持ち良い歯ごたえ、濃厚なうま味が口に広がった。そして、恐れていたことが起きた。わが家の小学生2人がこの味を知り、皿は瞬く間に空っぽになった。
「ねえ、お父さん。またウナギ食べたい」
「駄目。買わない」
「だったら捕ってよ」
「…」
釣り仲間に聞くと、夜釣りで結構釣れているらしい。「増水の後、四万十川は爆釣みたいよ」なんて情報や、うまそうな自作かば焼きの写真を送ってくれる人もいる。
行ってみるか…。でも、できればホームリバーの鏡川に上ってきたウナギがいい。妙なこだわりには訳があった。
実は、「捕って食べる宣言」以来、私は何回か鏡川にはえ縄を仕掛けていた。しかし自然は甘くない。古老にポイントを聞き、仕掛けや餌も聞いて挑戦してきたが、空振り続き。最初は珍しがって仕掛けの回収に着いてきた子どもたちも、「どうせ捕れないんでしょ」と明確に態度を変えた。ずぶ濡れで帰ってくる父に結果を聞くことさえなくなっていた。
そして今年、懲りない私は再び密かな闘志を燃やしていた。
仕事が早く終わったある日、一目散に鏡川へ。午後6時すぎに到着。ウナギの夕食時は午後7~9時ごろと聞いたことがある。時間がない。
まず、コンビニで買ってきた魚肉ソーセージを餌にハヤを釣る。これがウナギの餌になる。狙いをつけた川岸まで泳いでいき、水中めがねで川底の起伏を確かめながら1本ずつ、計5本の仕掛けを沈めた。
岸から適当に仕掛けを放り込んでいた今までとは本気度が違う。その夜は、にゅるにゅるしたウナギの夢を見た。
果たして翌朝6時。水の冷たさに震えながら仕掛けを上げると、掛かっているではないか! ハリスに絡み付くようにくねる、おなかの黄色い天然ウナギちゃんだ~!
念願の天然ウナギのかば焼き丼
ありがとう、鏡川!(本紙・ハチ)