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2021.09.02 08:00

【国会と総裁選】議論避ける姿勢が際立つ

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 今月中旬に菅義偉首相は衆院解散に踏み切るのではないか。そんな観測が政界に広がっているようだ。
 首相は、最優先は新型コロナウイルス対策だと強調し、「今のような厳しい状況では解散できる状況ではない」と否定している。
 17日告示、29日に投開票される自民党総裁選についても、先送りしない考えを示した。
 内閣支持率は低迷している。首相に不満を抱く若手議員を中心に、予定通り総裁選を行うように求める意見は根強い。総裁再選に不安を抱く首相が先に衆院選を行うのではないかという警戒感が、中旬解散が取り沙汰される背景にあるようだ。
 これらの日程が今後どう動くかは分からない。そんな中で、首相は政権の後ろ盾である二階俊博幹事長の交代を決断した。
 総裁選に出馬を表明した岸田文雄前政調会長は、党役員任期の制限を柱とした党改革を掲げた。党内にある二階氏への不満を糾合する思惑がうかがえる。
 これに対し、首相は菅政権誕生の立役者である二階氏ら党役員の刷新を打ち出した。二階氏と距離を置く勢力とのつながりを強めることで、再選への道筋を明確にすることを狙っているはずだ。併せて内閣改造も行う方向という。
 人心一新で支持率低迷を打開したいのだろうが、総裁選を前にした異例の対応となるだけに違和感は拭えない。施策を充実させるためなら早期の対応が必要だった。
 こうした対応が総裁選の論議に与える影響が気になる。岸田氏は任期制限案について、権力の集中と惰性を防ぎたいと意図を説明した。それが生まれる背景や目指すべき姿を議論することで党内の風通しがよくなる。せっかくの機会に争点化を避けるようではもったいない。
 議論を避けてはいけないのは国会にも当てはまる。
 政府、与党は総裁選前の臨時国会召集には応じない方針だ。コロナ対策の予備費に不足は生じないためと説明している。
 しかし、論点はコロナ対策にしても予備費だけではない。医療体制の強化やワクチン接種への対応、経営支援など多岐にわたり、法整備が必要となる場合もある。そもそも予備費も無批判に使えるものではなく、その使途や必要性、金額などは国会で審議されるべきことだ。
 デルタ株の急拡大で、コロナ対策の緊急事態宣言、まん延防止等重点措置は33都道府県に適用される状況だ。12日まででの全域解除は難しいとする見方もでている。
 憲法53条は臨時国会召集の要件を定めるが、要求に応じる期限が決められていないため召集は政権の意向にゆだねられる。議論を避ける姿勢の一方で、首相が「コロナ対策が最優先」と言っても説得力は弱い。
 重症者は増加している。自宅療養者の症状悪化に対応できる体制も不可欠だ。審議することは多い。課題に向き合わないようでは政治不信が増幅する。

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