2021.08.29 08:55

土佐伝統のしっくい壁、コロナ99・98%不活化 田中石灰(高知市)確認

新型コロナウイルスを不活化することを実験で確認した「タナクリーム」(南国市稲生)
新型コロナウイルスを不活化することを実験で確認した「タナクリーム」(南国市稲生)
ビニールクロスの千分の1に
 田中石灰工業(高知市五台山)が、高知県産の石灰石を使った自社のしっくい製品に新型コロナウイルスを死滅させる効果があることを実験で確認した。製品を塗った壁に同ウイルスが付着すると、99・98%が不活化した。一般的なビニールクロスと比べて千分の一に減るという。「自然由来で、人と環境に優しいしっくいが選ばれるきっかけになれば」と期待を寄せている。

 高知県は白くて上質な石灰石が採れ、江戸時代から名産地として名をはせてきた。同社は高知市土佐山地区の石灰石を使い、伝統的な土中窯による塩焼き工法で、しっくいを生産している。

 しっくいを室内に塗ると、湿度を調整する〝呼吸する壁〟になる。強アルカリ性のため、抗菌作用があることは古くから知られており、新型コロナウイルスにも効果があるとみて実験を企画した。

 使ったのは主力製品の「タナクリーム」。職人以外でも扱いやすいよう、しっくいに微細な木質繊維と水を加えてクリーム状にしたもので、県内に実験施設がないため、4月に静岡県にある厚生労働省登録の民間検査機関に依頼した。

 アクリル板の表面にタナクリームを塗ったものと、一般的なビニールクロスを用意。新型コロナウイルスの培養液を垂らし、2時間後の残量を調べた。

 その結果、しっくいの板はウイルスの99・98%が不活化。ビニールクロスもある程度減少したものの、しっくいに比べて千倍のウイルスが不活化せず残っていたという。

 同社はこの実験を受け、ウイルスが付着した手で壁に触れても次に触る人の感染リスクが減らせるとし、顧客へのアピールに活用していく。しっくいの壁に囲まれた室内で、空気中のウイルスが減るかどうかは未確認という。

 田中克也社長(57)は「しっくいは新型コロナにも強いことが証明された。高知ゆかりの伝統的な建材の裾野が広がってほしい」と話している。(竹内悠理菜)

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