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2021.08.29 08:45

女子生徒のスラックス、高知県内の中高校で採用広がる 性的少数者に配慮も

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生徒と教員で制服の在り方を考えた勉強会(7月、高知市長浜の南海中)

生徒と教員で制服の在り方を考えた勉強会(7月、高知市長浜の南海中)

 高知県内の中高校で、女子生徒の制服にスラックスを選べるようにする動きがじわり広がっている。性的少数者への配慮や動きやすさ、防寒などの理由が背景にあるようだ。

 「スカートをはくのは気持ち悪いけど、ずっと我慢してきた」

 そう明かすのは県内の中学2年生。女性の体で生まれたが、小学4年の頃に体に違和感を覚え、小6時に「心が男性だ」と自覚。小学校では胸の膨らみを隠すため、大きめの上着とズボン姿で過ごした。

 中学で制服のスカートをはかなければいけないことに、嫌悪感がある。勉強で後れを取りたくないと頑張って通うが、「やっぱりスカートが苦痛。はいていると楽しいと思えない」。学校を休みがちな時期もあった。

 今は学校の理解を得て1日数時間、別の教室でジャージー姿で過ごす。「スラックスを認めてくれて、周りの友達も受け入れてくれたら、学校がもう少し楽しくなると思う」と静かに話した。

 性的少数者は、人口の10%ほどいるとされる。文部科学省は2015年に、学校での配慮を求める通知を出している。

 学生服メーカー「高知菅公学生服」(高知市)によると、女子のスラックスを採用する全国の中高校は19年度から急増し、本年度中に千校を超える見込みという。

 県内の県立学校では02年の山田高(香美市)を皮切りに、中村中高(四万十市)、高知国際中高(高知市)などが女子のスラックスを採用。同社担当者は「ジェンダーレスは時代の流れ。今後も増える」と言う。

 一方、スラックス着用がいじめの引き金になりかねない、と懸念する声もあり、学校側には生徒への丁寧な説明が欠かせない。

 高知市の土佐山学舎は、来年4月に制服を一新する。女子がスラックスを選択でき、男子がリボンやスカートを選ぶこともできるようになる。

 竹崎優子校長は「選択がいじめにつながるなら本末転倒。差別を生まない環境づくりが一番大事」と話す。LGBTQの当事者による講演などを通じて、生徒とともにジェンダーへの理解を深めていくという。

 このほか、同市の城東中は、動きやすさや防寒面から導入を求める生徒の声を受け、2学期から女子のスラックス着用を許可。同市の南海中や横浜中、南国市の香南中なども、多様性を認める制服について勉強を進めている。(石丸静香)

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