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2021.08.28 08:00

【自民総裁選】政権1年の総括の機会に

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 自民党の総裁選の日程が決まった。9月17日告示、29日に投開票される。
 菅義偉首相(党総裁)は「時期が来たら出馬する」と繰り返している。岸田文雄前政調会長が立候補を正式表明し、事実上の選挙戦に入った。下村博文政調会長、高市早苗前総務相も出馬に意欲を示す。
 新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。国民生活は大きな影響を受けている。実効性のある対策を今後、どのように展開していくのか。菅政権1年の評価を軸に、政権、政策の在り方を問い直す有意義な論戦を期待したい。
 昨年9月、安倍政権は第2次内閣発足から7年8カ月で幕を閉じた。菅氏は5派閥などの支持で総裁選を制し、残り任期1年を引き継いだ。
 体調不良による安倍晋三首相の突然の辞任表明を受けた総裁選であり、政治空白を回避するとの理由で国会議員と都道府県連の投票による簡略型の選挙となった。今回は全国一斉の党員・党友投票を実施する。地方票の動向も注目される。
 1年ほど前の菅政権発足時、世論は優先課題として新型コロナ対策を求めた。しかし、政府の対応は後手に回る印象が強く、経済活動との両立はほど遠い状況だ。
 科学的な知見との向き合い方や、繰り返される緊急事態宣言などの効果に疑問が向けられる。感染「第5波」では医療の逼迫(ひっぱく)が強まり、危惧された体制整備の遅れが顕在化している。
 ワクチン接種の進展で抑え込めるとする首相の姿勢や、説得力のある言葉が届かないことへの批判は根強い。政権発足時に歴代内閣でも高水準にあった支持率は低迷している。衆院選をにらむ中堅・若手議員の動揺が指摘され、首相の衆院解散戦略にも影響しているようだ。
 菅首相は就任に際し、安倍政権の「継承と前進」を掲げた。そのためには説明と理解を求める姿勢が欠かせないはずだが、十分だったと言えるだろうか。
 安倍政権から続く「政治とカネ」問題は解消されずに残っている。
 2019年参院選広島選挙区での買収事件で、自民党が河井案里氏陣営に投入した資金についての疑問が解明されていない。「桜を見る会」前日の夕食会を巡る問題も曖昧にされている。
 また、日本学術会議の会員候補の任命拒否は理由が分からないままだ。森友学園を巡る決裁文書改ざんも決着していない。
 これらをしっかりと論じることが党内の風通しをよくして活力を高めていくはずだ。
 2度目の挑戦となる岸田氏は、総裁を除く党役員は1期1年、連続3期までとする改革案を提示した。権力の集中と惰性を防ぎたいと狙いを説明する。在職日数が歴代最長を更新している二階俊博幹事長らを念頭に置いているようだ。
 対立軸が鮮明になれば議論が活発になる。それが政治への信頼にもつながる。

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