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2021.08.25 08:00

【みずほ銀行障害】危機対応力の乏しさ露呈

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「またか」。多くの利用者がそう感じたに違いない。みずほフィナンシャルグループ(FG)で再びシステム障害が相次いだ。
 20日にはことし5回目となる大規模なシステム障害が発生し、傘下のみずほ銀行とみずほ信託銀行は全国の窓口で一時、入出金や振り込みなどの取引ができなくなった。23日にもみずほ銀行で現金自動預払機(ATM)の一部が一時停止した。
 社会インフラでもある銀行システムの障害で決済が長時間滞れば、経済活動に多大な影響を及ぼす恐れも否めない。長年の経営課題であるシステムの不安定さを解消できない現状には、企業統治の在り方への疑問が浮かび上がる。
 みずほFGは2002年4月の発足以来、システム障害に悩まされてきた。発足初日に約250万件の口座振替などで遅れや誤処理が発生。11年3月にも東日本大震災で義援金の振り込みが集中し、給与など最大116万件の振り込みが遅れた。
 19年夏には約4500億円を投じた新勘定系基幹システムへ移行したが、長年の課題を解決するには至らなかった。
 ことし2~3月には4回ものトラブルが集中した。ATMの8割が停止して機械に取り込まれたキャッシュカードや通帳が戻らない事態が多発した。このトラブルで、現在も金融庁の検査を受けている。
 みずほFGによると、20日のトラブルは預金の入出金などを担う勘定系システムと営業店を結ぶ機器が故障。バックアップ機器に切り替えられず、障害が発生したという。23日には全国で最大130台のATMが停止した。
 銀行のシステムは経済の国際化やキャッシュレス決済の普及で重要性は一層増しているが、一般的に障害を完全に防ぐことは難しい。
 金融庁によると、19年度には小規模なものを含め、全国の金融機関で約1500件発生している。現実的には顧客への被害をいかに小さくするか、企業としての危機対応力が問われているといってよい。
 しかし、5回目のトラブルでは前夜に障害発生を把握し、システム運用を担う外部企業も加わって復旧作業を続けたものの、開店に間に合わず対応力の乏しさを露呈した。
 当初は開店までに復旧できれば内部の問題で済ませられるとの判断があったのかもしれない。顧客への告知は開店30分前で、混乱を抑制できなかった。6回目となった23日は記者会見さえ開いていない。情報開示の姿勢が疑われよう。
 2~3月のトラブルを検証した第三者委員会の報告書はシステムリスクへの感度の鈍さ、システムに詳しい人材の関与が薄れていた点を指摘。顧客目線の乏しさも組織の課題に挙げていた。今回のトラブルも問題点が改善されないまま発生しているように映る。
 これまでの教訓に照らし、再発防止策は適切に進められていたのかどうか。企業体質の十分な検証と対策の徹底が欠かせない。

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