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2021.08.21 08:00

【パラリンピック】感染防止へ対策は万全か

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東京パラリンピックの開幕が近づいてきた。海外選手団の入国ラッシュも始まった。
 東京五輪に引き続き、新型コロナウイルス下での大会だ。安全安心に開催するためにコロナ対策は大きな課題となる。五輪での不備を徹底的に検証し、感染予防に万全を尽くすことが求められる。
 感染力が強いデルタ株が影響し、感染状況は五輪のころより悪化している。開幕時の全国の新規感染者は4千人前後だったが、閉幕時には3倍ほどの規模に膨らんだ。最近は2万人を超えるようになった。
 重症者も最多を更新している。患者の急増で医療体制に重大な影響が出るようになった。病床が逼迫(ひっぱく)して入院調整が難航することや、自宅療養で死亡する事例も生じている。
 コロナ対策の緊急事態宣言は13都府県に発令された。まん延防止等重点措置も16道県に広がり、計29都道府県で行動制限が強化されている。
 高知県も独自の対応ステージを最も上の「非常事態」に引き上げ、警戒を強めている。
 こうした状況下での開催となる。選手には四肢の重度障害や視覚障害、知的障害など多種多様な障害がある。基礎疾患を抱えた選手が感染した際の重症化リスクが危惧される。既に選手村滞在者から陽性が確認されている。
 このため対策は、五輪での実施分にとどまらず、検査や行動管理の強化を検討するようだ。きめ細かな対応と一層の配慮が欠かせない。
 選手らと外部との接触を断つバブル方式がパラでもとられる。しかし、五輪ではほころびも露呈した。観光目的での外出で、最も重い大会参加資格証の剥奪もあった。ルール順守の徹底を求めたい。
 会場は全て原則無観客とすることで組織委員会や政府などは合意した。不要不急の外出自粛など国民に感染防止への協力を求める中、一般観客を入れての開催は理解を得られないと考えたようだ。
 観客の前で競技することは選手の喜びであり、観客は感動をその場で共有できる。大会理念である共生社会の実現にも大きな意味があるだろう。しかし感染状況は厳しい。残念だが現実的な判断と言える。
 一方で、児童や生徒に観戦機会を提供する「学校連携観戦プログラム」は実施の方向だ。五輪の経験を生かすとする意見があり、自治体にも前向きな姿勢が見られるようだ。確かに、パラには五輪とは違う教育的意味合いがあり、その機会を大切にしたいというのは理解できる。
 ただ、専門家からは慎重論が出ている。感染リスクとどう向き合うのか。実施できる環境かどうかを多面的に検討する必要がある。
 情報開示も大切だ。南米ペルー由来とされる「ラムダ株」が国内で初めて、7月に羽田空港に到着した人から確認されている。五輪関係者だったことが判明したが、組織委は詳細を明らかにしていない。不十分な対応で不安を増幅させては、大会への厳しい見方を招きかねない。

高知のニュース 社説

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