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2021.08.19 08:00

【緊急事態拡大】国民の不安と向き合え

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 新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからない。緊急事態宣言とまん延防止等重点措置の期限延長と対象地域の拡大が続いている。
 政府は、宣言地域に重点措置を適用中の7府県を追加する。対象は13都府県となる。また重点措置は香川、愛媛を含む10県に追加適用し、計16道県となる。今月31日までの期限は9月12日に延長される。
 四国2県の重点措置適用は、全国の感染状況から四国も例外ではないことを印象付ける。高知県内でも20人以上の新規感染が続き、きのうは最多の64人を確認した。帰省など県外との往来に起因した感染が急増しているようだ。
 対応ステージは5段階で上から2番目の「特別警戒」だが、一部の指標は最も上の「非常事態」の水準だ。危機意識を共有し、防止対策の徹底や医療体制の充実を図りたい。
 感染力が強いデルタ株が急拡大している。国内の新規感染者数は2万人を超えるようになった。重症者も最多を更新する状況で、医療逼迫(ひっぱく)が懸念される。
 宣言や重点措置が延長、拡大される中、飲食店での酒類提供が厳格化され、不要不急の外出や移動の自粛が求められてきた。今回も大型商業施設の入場制限や外出機会の半減が要請された。ただ、繰り返される行動制限に「自粛疲れ」や「宣言慣れ」が指摘されている。 
 前回7月30日に宣言の延長や追加をした際、菅義偉首相は「今回の宣言が最後となるような覚悟で、全力で対策を講じる」と述べている。感染者数が増える結果となっていることを重く受け止める必要がある。それにもまして、全力で対策を講じたかが問われる局面だ。
 このときには既に東京五輪は開幕していた。ほぼ無観客で実施されたとはいえ、専門家からは、五輪での高揚感が人々の気の緩みにつながったとする指摘も出ている。
 これに対し首相は、感染拡大に影響していないとの見方を示す。確かに、日本勢の活躍もあって開幕前の中止論は和らぎ、好意的な評価も増えた。世論調査では、五輪開催を「良かった」が6割に達した。
 一方で、五輪開催が感染拡大の一因になったと見方も6割に迫る。五輪の盛り上がりが政策の不評を打ち消すという政権側の甘い期待が衆院選にらみで取り沙汰されもしたが、世論は冷静な判断を示している。それは菅内閣の支持率が最低を更新したことにも表れている。
 ワクチン接種に関する政府の取り組みへの評価は「遅い」が75%に達した。対策の柱としてきたワクチンでさえこんな状況だ。高知県内でも職場接種を巡り、国からの供給遅れにより一部で断念している。
 政府の病床確保策に8割近くが不安を感じている。基本とする自宅療養から病院へのつなぎや、一般医療への影響に懸念は根強い。首相は医療体制の構築を掲げたが、その必要性は以前から指摘されている。楽観を排し、国民の不安と向き合わなければ施策への協力は広がらない。

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