2021.08.19 08:38
障害ある人も読書楽しんで オーテピアが支援サービス周知に注力 高知市
録音図書の再生機やタブレットなど。すべて無料で宅配貸し出しする(高知市の「オーテピア高知声と点字の図書館」)
ことし7月で開館3周年となったオーテピア。昨年度は新型コロナウイルスの影響で約1カ月休館したが、オーテピア高知図書館の個人貸出数は約102万冊と、幅広い層に利用されている。
1階の「オーテピア高知声と点字の図書館」では、録音や点字図書などを所蔵するだけでなく、読書が困難な人に向けて、図書や再生機の無料宅配貸し出し▽対面音訳▽利用方法を説明する訪問サポート―などを実施。坂本康久館長によると「これほどのサービスを行う図書館は全国でも少ない」という。
ただ、それが浸透しているとは言えない状況だ。図書館が昨年9~10月、満足度やニーズ把握のため県内の身体、知的障害者ら610人にアンケートしたところ、サービスを「知らない」が69・3%に上り、「知っているが利用したことはない」が21・6%、「利用経験がある」は9・1%だった。
弱視などの視覚障害や寝たきりの人ら、読書が困難な状況にある人は県内に数万人いると推計される。一方、同図書館の利用登録者は500人ほど。「本が好きなのに諦めている人がいる」(坂本館長)として、同図書館は、障害者施設や医療機関を通じてサービスを紹介してもらうことにした。
併せて7月から、再生用タブレットの個人貸し出しや、電話1本で利用できる登録不要のお試し体験サービスを開始。来春までに、ボタン操作がより簡単な携帯型の録音図書再生機を60台導入し、さらにサービスを充実させる。
坂本館長は「あらゆる人が、いつまでも本の世界を楽しめる環境を提供したい」と話している。問い合わせは同図書館(088・823・9488)へ。(石丸静香)