2021.08.18 08:35
高専の人工衛星が完成 高知を中心に開発、21年度内に打ち上げ
完成した「KOSEN―1」を手にプロジェクト成功を誓う宇宙科学研究部の学生ら(写真はいずれも南国市物部乙の高知高専)
衛星は10センチ四方の立方体を縦に二つ重ねた超小型サイズ(重さ2・6キロ)。3・3メートルのアンテナを両側に展開し、木星が発する電波を観測して地球にデータを送る。このほか、精度の高い衛星の姿勢制御や、消費電力が小さい超小型心臓部の実証実験も担う。
「KOSEN―1」(手前)と搭載されるJAXAのイプシロンロケット5号機
現在の開発メンバーは1~3年生5人。新型コロナウイルスの影響で、外殻やソフトウエアなどを開発する他の高専との分業、連携は大変だったといい、リーダーの3年、坂本蓮人部長(17)と細木温登副部長(17)は「苦労して形になったのでうれしい」。22年度には高知など6高専で開発する「KOSEN―2」の打ち上げも控え、2人は「後続機につなげられるよう、宇宙で計画通りに動いてほしい」と話す。
衛星は、JAXAがイプシロンロケット5号機に搭載し、本年度内に内之浦宇宙空間観測所(鹿児島県)で打ち上げる。既に組み込みが進められており、来月にはロケットを発射台に据え付ける作業に入る。
南国市は今月下旬、同市大そね甲の海洋堂SpaceFactoryなんこく内に地上通信局を開設。上空通過時に衛星からデータを受信するという。
今井客員教授は「衛星はあらゆる知識がないとできない、究極のものづくり教育。若い学生の参画を続け、宇宙開発に関わる人材を高専で育てたい」としている。(横田宰成)