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2021.08.18 08:00

【前線停滞】油断なく災害への警戒を

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 停滞する前線の影響で、全国各地で記録的な大雨になった。
 九州や中国地方を流れる多くの河川で氾濫が確認され、浸水などによる住宅被害は九州を中心に4千棟以上に上っている。土砂災害も全国各地で発生。多数の死者や行方不明者が出る事態になっている。
 県内も11日以降、断続的に降り続いている。既に地盤が緩んでおり、災害の発生が懸念される状況だ。油断なく警戒する必要がある。
 今回は、梅雨末期のように前線がほぼ同じような場所で停滞し、雨が降り続けているのが特徴だ。各地で線状降水帯の発生もみられる。
 太平洋高気圧が例年より日本から南に離れており、その隙を突いて北からの冷たい空気、南からの暖かく湿った空気が前線付近でぶつかって雨を降らせているという。
 九州では、11日の降り始めから1週間足らずで、年間降水量の半分ほどに達した地域もある。
 14日には佐賀、長崎、福岡、広島の4県に大雨特別警報が出された。市町村が出す最高レベルの避難情報「緊急安全確保」も発令され、対象は計約65万世帯に達した。佐賀県武雄市では、川の氾濫で病院が孤立するなど建物の床上・床下浸水が1800棟に及んだ。
 土砂崩れも各地で頻発している。長崎県雲仙市では住宅が崖崩れに巻き込まれ、死者と安否不明者が出ている。救助が急がれるが、降り続く雨が警察などによる捜索をも阻んでいる。
 気象庁によると、前線は20日ごろまで日本付近に停滞する見込みだ。湿った空気の流れ込みが再び強まり、特別警報級の大雨が発生する恐れもあるという。
 県内でも香美市大栃や室戸岬では8月降水量の平年値を上回るなど、既に相当な量の雨が降っている。土砂災害などへの警戒が怠れない。
 少しでも危険を感じたら、命を守るためにちゅうちょせず避難を始めることが重要だ。
 最新の防災や気象の情報を把握し、災害が差し迫る前に早めに避難することが欠かせない。
 自治体も空振りを恐れず、避難指示や緊急安全確保などの避難情報を先手先手で出すよう求めたい。避難所の新型コロナウイルス対策にも万全を尽くす必要がある。
 2017年の九州北部豪雨や18年の西日本豪雨など、近年は毎年のように「数十年に一度」と言われる大雨災害が起きるようになった。
 日本だけではない。ドイツでは7月に集中豪雨による洪水が発生し、170人以上の死者が出た。米国やギリシャなどでは逆に熱波による山火事も起きている。今月公表された国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書にある通り、地球温暖化の加速による影響を実感させられる。
 頻発する災害への準備が日頃から欠かせない。避難路確認や備蓄はもちろん、地球温暖化に対して何ができるかを考えることも、災害への備えと言える時代になっている。

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