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2021.08.13 08:00

【医療逼迫】危機意識持ち対応を急げ

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 新型コロナウイルスの新規感染者数がほぼ全ての地域で急速に増加する状況となった。全国では1万人を常態的に超えながら、過去最多を更新する局面にある。
 医療提供体制は首都圏を中心に非常に厳しくなっている。厚生労働省に感染症対策を助言する専門家組織は「もはや災害時に近い」との認識を示す。東京都の専門家は、感染状況は「制御不能」で、医療は「深刻な機能不全」と訴える。
 東京に4回目の緊急事態宣言が発令されて1カ月がたった。新規感染者数は発令時は千人を下回る規模だったが、最近は5千人を超える日も出ている。宣言下でも状況の改善は見られない。
 感染者の急増に伴い、自宅療養や入院調整中の人も増加している。自宅療養者数は首都圏を中心に4万人を上回り、1週間で倍以上に増えている。首都圏3県でも20~30代を中心に急増している。
 政府は自宅療養者の容体が急変すれば迅速に医療につなぐとする。しかし、受け入れを数十回断られる事例も報告される。病院が集中治療室への一般患者の受け入れを制限しながら病床を拡大しても、こうした事態が発生している。一般患者への影響も広がり、危機意識は強まる。
 医療への圧迫は、感染状況に改善が見られてもしばらく続くと予測される。以前から感染拡大が指摘されながら、それに対応できる施策が講じられていないことを政府は重く受け止め、対策を急ぐ必要がある。
 菅義偉首相は、東京五輪と感染拡大の関係を否定するが、果たして国民の受け止めと一致しているだろうか。気の緩みにつながったとする専門家の指摘がよほど実感に近いように思える。
 東京パラリンピックが迫っている。こうした認識の違いを解消することが、開催の是非や観客の有無を判断する第一歩となる。首相が説得力あるメッセージを発しないと意識は分断されたまま残ってしまう。
 インド由来のデルタ株は感染力が強く、世界で猛威を振るっている。関東地方で90%以上、関西地方で80%以上を占めると推定される。地方への拡大は避けられそうにない。
 高知県内でも感染が特定された。既に半数近くがデルタ株に置き換わっているとの見方もある。油断できない状況だ。
 ワクチン接種は、65歳以上は8割超が2回接種し、全世代では1回目、2回目とも全国平均を上回っている。過信は禁物であり、供給量との兼ね合いもあるが接種の加速が望まれる。若い世代には接種に積極的ではない人が多いとされる。理解を得る働き掛けが欠かせない。
 医療逼迫(ひっぱく)は高知でも短期間のうちに起こりうる。それを想定した備えが怠れない。
 やはり基本は感染を減らすことだ。緊張感を持って、できることを堅実に取り組んでいくしかない。マスクや対人距離の確保、手指消毒の徹底など基本的な対策を徹底して、感染防止に努めたい。

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