2021.08.13 08:38

絶景、登山、新規施設...石鎚山系観光に活気 高知県いの町など受け入れ強化

 高知・愛媛県境にまたがる石鎚山系で近年、山岳観光が活性化しつつある。吾川郡いの町の町道瓶ケ森・瓶ケ森西線(通称・UFOライン)からの景色が人出を呼び、登山客の裾野も拡大の様相。関係自治体の連携組織はツアーなどで登山以外の楽しみも提案し、同町は「山荘しらさ」を新装オープンするなど、受け入れ強化が進んでいる。
絶景を楽しむ登山客(4月、いの町の瓶ケ森)
絶景を楽しむ登山客(4月、いの町の瓶ケ森)

 好天の休日、同山系の瓶ケ森(1897メートル)山頂には約20人の老若男女。登山口にアクセスするUFOラインでも、あちこちにカメラを構える観光客の姿があった。

初心者増える
 尾根沿いを走る道は2018年に自動車メーカーのCMの舞台となり、一気に有名に。以降、ドライブ客らが目立って増えた。登山者にはもともと人気のエリアだったが、いの町観光協会の職員は「以前と比べ、登山口の場所や季節の花の情報など初心者とみられる人の問い合わせが増えた」とも言う。

 機を捉えるかのように、同町と土佐郡大川村、愛媛県西条市など4自治体は19年、株式会社「ソラヤマいしづち」を設立。ツアー商品の企画・販売などに乗り出した。

 昨年10月、石鎚山登頂やキャンプ飯作りなどをコース別に体験するイベントには計約200人が参加。12月と今年4月には、冬季閉鎖中のUFOラインで初めてウオーキングイベントを開催し、計約300人を集めた。町職員は「想像より参加者が多く、山への需要の高まりを感じた」と手応えを話す。

 継続的な集客が期待される一方で、観光関係者からは「山でどうお金を落としてもらうかが難しい」との声も上がる。拠点の一つが今年4月、4年ぶりに営業を再開した「山荘しらさ」。計20人余りが泊まれる6棟のロッジと、宿泊客以外も利用できるレストランを備える。休日は満室が続くこともあり、客入りは好調という。

 また、いの町観光協会は18年、登山技術や地域の歴史・文化に関する講習を受けた「山の案内人」認定制度を創設。町在住の8人が登録され、昨年は計約20回の有料ガイドを行った。担当者は「少しでも地元にお金が落ちる仕組みが作りたかった」と話す。

冬山売り出せ
 山への〝入り口〟が増える一方で、懸念も生じる。県山岳連盟常務理事の刈谷範光さん(73)=同町=は「県内の山はササが枯れて踏み跡が分かりにくい場所が多く、標識は少ない。道迷いの危険性がある」と初心者に注意を促す。

 冬山となれば事故の危険はより高まるが、一方でその景色の美しさは「四国では珍しい、貴重なコンテンツ」(町担当者)。町は昨冬、ツアーでの活用を見据えてUFOラインで雪上車を試験運行するなど、冬の魅力発信も模索している。
冬山観光での活用を模索し試験的に走らせた雪上車(1月、いの町寺川=町提供、画像を一部加工しています)
冬山観光での活用を模索し試験的に走らせた雪上車(1月、いの町寺川=町提供、画像を一部加工しています)

 町観光協会も「今後は登山だけでなく、例えば山でのコーヒー作り体験などライト層向けの企画も立てたい」と意欲を見せる。またソラヤマいしづちは3月、旅行会社のクラブツーリズムと包括連携協定を締結。町職員は「石鎚山系は他と比べて海山川が近接しており、多様な体験を楽しめるのが利点」と強調する。ツアー企画や磨き上げが進めば、山の熱気はさらに上昇しそうだ。(山崎友裕)

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