2021.08.12 08:33

すくえそうな金魚たち 深堀隆介展から(3)丹塗椀 更紗 地球って金魚鉢

 真っ赤な丹塗りの椀(わん)で泳ぐ白い金魚。透けるように薄く長いひれがゆらめている。

 欠けていてもどこか気高い印象を受けるこの椀は、深堀隆介さん(48)が、女優の中村あずささんから譲り受けたものだという。

 深堀さんが用いる小道具は、欠けた椀や古びた弁当箱など日常生活で使われて役目を終えたものばかり。水の流れていた歴史がある容器にこそ、金魚が映えるのだそう。

 深堀さんは、器の中の金魚のふんも丁寧に描く。自然界の魚と違って、金魚は自らが暮らす器の中にふんをして、自ら水を汚さざるを得ない。

 「人間が鉢の水を替えないと金魚が死ぬように、生きてるだけで水と空気を汚す人間も、地球という鉢に生かされている存在なのかもしれません」

 何やら哲学的なお話。あっ、今回の作品展のテーマ。「金魚鉢、地球鉢」でした。

 地球鉢の水、にごってやしませんか?(文・玉置萌恵、写真・山下正晃)

 深堀隆介さんの作品展「金魚鉢、地球鉢」は県立美術館で29日まで。

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