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2021.07.20 08:00

【迫る五輪開幕】感染対策の「穴」が目立つ

 東京五輪の開幕が23日に迫り、あすから一部競技が先行して始まる。新型コロナウイルスの緊急事態宣言下、大半の競技が無観客で行われる異例の五輪になる。
 東京都の新規感染者は千人を超える日が増えるなど感染急拡大への不安は高まっている。そんな状況に加え、海外から選手と大会関係者の来日が本格化し、検査で陽性になる例も続出しているのは懸念される。
 水際対策とともに、入国後の行動を制限する「バブル方式」をきちんと機能させ、感染対策を徹底していく必要がある。
 東京五輪では選手約1万人、大会関係者4万1千人が来日する見込みだ。8割以上がワクチン接種済みで、出発前と空港到着後に検査を繰り返して陰性を確認する。
 さらに入国後は、専用車両で移動、立ち寄り先も原則として合宿地や選手村、競技の会場に限定される。外部との接触を断つ仕組みで、政府や大会組織委員会が「安全安心」の根拠としてきた。
 しかし、対策の緩さがあらわになっている。
 ウガンダ選手団は、空港検疫で1人の陽性が判明した後、他の選手が濃厚接触者の判定がなされないうちにバスに乗って移動していた。
 ウイルスと隔絶されるはずの選手村でも、南アフリカのサッカー選手の陽性が判明した。代表チームの20人以上が濃厚接触者となっている。村内でのクラスター(感染者集団)発生も懸念される事態だ。
 なぜ、「バブル」をすり抜けたのか。原因を迅速に突き止めて「穴」をふさぐ必要がある。
 一般の人との接触も遮断しきれていない。事前合宿地への移動でも、国内最大の羽田空港ですら保安検査場を選手団専用とするのは難しいという。本番を想定し、事前に確認できなかったか疑問がわく。
 大会関係者が宿泊するホテルでは、一般客とエレベーターなどを共有している場合もある。外出などのルールを守らない例も少なくない。報道関係者が来日後14日間求められる自己隔離も各自任せだ。外部との接触を断つ感染対策の基本を徹底しなければならない。
 五輪開催に突き進んできた菅義偉首相は「安全安心」「国民の命と健康を守る」と言い続けてきた。しかし、共同通信が17、18日に行った世論調査では、東京五輪・パラリンピックによる感染拡大に不安を感じる人は87%にも上っている。
 国民は不安を解消できないまま開幕を迎えることになる。政府、組織委などは対策を徹底し、「安全安心」への責任を果たすべきだ。
 東京五輪と同じく無観客、バブル方式で開かれたサッカー南米選手権では、選手ら200人近くの感染が判明した上、開催国だったブラジルで確認されていなかった変異株が流入している。
 感染力がデルタ株以上とされ、南米で猛威を振るうラムダ株などの国内流入も懸念されている。五輪でそうした事態を招いてはならない。

カテゴリー: 社説

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