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2021.07.17 08:41

[音土景] 音感じる土佐の風景(7)山あいに響く「妖精」ヤイロチョウの歌


 この時季、県内の山中で口笛のような独特の鳴き声を聞くことがある。「森の宝石」とたたえられる、色鮮やかなヤイロチョウの声だ。高知県の県鳥であり、高岡郡四万十町の町鳥でもある。

 7月初旬。ヤイロチョウの保護活動などに取り組む「生態系トラスト協会」(四万十町大正、中村滝男会長)のアドバイスを受け、同町の山に分け入った。

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 英名は「フェアリー ピッタ」(妖精のような小鳥)。めったに見ることができない「幻の鳥」とされる一方、山の集落では「軽トラの屋根に止まっちょった」という目撃談も。森の妖精はかなり気まぐれなようだ。

 水辺の道を進む。ウグイスやヤマバトに交じり、アカショウビンの高く震える鳴き声が響く。にぎやかだ。不意に尻上がりに音が高くなる、笛のような声が聞こえてきた。

 胸が高鳴る。周囲に目を凝らすが、見つからない。さらに歩く。声はすれども姿は見えず、歩くこと約4時間。諦めかけた、その時。目の前を、緑の鳥が横切った。

 歩みを止めて目で追うと、茂る葉の向こうに姿が見えた。木の枝に止まり周囲を伺っている。すぐにカメラを構え、息を殺して撮影。わずか10秒ほどで飛び去った。再びどこかから、妖精の鳴き声が聞こえてきた。

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 ヤイロチョウは毎年5月ごろ、マレーシア・ボルネオ島などから西日本の山に渡り、子を産み育てる。

 かつては迷鳥とされていたが、1937年に国内で初めて宿毛市山奈町の国有林で親鳥とヒナが見つかり営巣、繁殖が確認された。

 同協会によると、ヤイロチョウは子育て後に、羽毛が生え替わることなどが近年の研究で分かってきた。親鳥は8月下旬、幼鳥は親と同じ大きさに育った9月中旬以降に、それぞれが約3500キロ離れた土地へ約2カ月かけて戻るという。

 ただ現地では森林開発が進み、その数は減少している、と指摘する研究者もいる。

 四万十町では今年もひなの巣立ちが確認された。来年も、その先も妖精の歌声が響く森が守られますように。(佐藤邦昭)


 ヤイロチョウの鳴き声は生態系トラスト協会のホームページで聞くことができます。

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