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2021.07.13 08:00

【4度目緊急事態】圧力で理解は得られない

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 4度目となる新型コロナウイルスの緊急事態宣言がきのう、東京都に発令された。
 6月の宣言解除から3週間で再宣言となった。沖縄県の宣言、首都圏と大阪の4府県のまん延防止等重点措置も延長された。
 東京五輪の開幕が迫る中、首都圏の感染者は増加傾向にあり、「第5波」が懸念されている。菅義偉首相は6月の解除の際、大きなリバウンド(再拡大)を防ぐため、機動的に対処する意向を示した。残念ながら、東京では前週の同じ曜日を上回る日が続き、千人に迫る日もあった。感染力が強いインド由来の「デルタ株」の拡大が警戒される。
 首相はワクチン接種を対策の切り札と位置付け、接種の加速を図る。しかし、ワクチン供給が減少し、職場接種にとどまらず、住民接種の予約受け付けを中断した自治体もある。期待の押しつけではなく、自治体との意思疎通を図りながら進めなければ混乱は避けられず、政策への不信感を強めてしまう。
 感染リスクを封じるため、首相は酒類提供の厳格化も表明している。宣言対象地域では引き続き酒類の提供を禁止し、重点措置地域は原則禁止として条件付きで認める。
 それを受けた対応ということだろうか、民間の取引関係を通じて締め付ける手法まで持ち出してきた。西村康稔経済再生担当相は酒類の提供禁止に応じない飲食店に、取引金融機関から順守を働き掛けてもらう方針を示した。猛反発を受けて撤回したが、威圧感を与えて従わせようとすることは許されない。 
 日銀の6月の企業短期経済観測調査(短観)は外需主導で製造業が改善する一方、非製造業は感染状況に左右される宿泊・飲食を中心に厳しい状況が続く。こうした中、公的支援を含めて資金調達しやすい環境が整えられ、金融機関の貸し出し態度は「緩い」超で推移している。
 コロナ下で資金繰り支援が重要なのは言うまでもない。そうした関係さえ崩しかねず、景気の回復局面にも悪影響を残しかねない。
 飲食店は求められるコロナ対策を実施しても、なお営業を制約される。このため、コロナ対策の失敗を押しつけられているという店主らの反発が伝えられる。要請を守っている店との不公平感を解消することは必要だが、なりふり構わずの施策では納得は得られはしない。
 政府は酒類禁止や営業時間短縮の要請に応じた飲食店に対し、協力金を先渡しできる仕組みを導入するとしている。しかし、これまでにも休業要請への協力金の支払いが滞っている事例がある。
 原因を究明して仕組みを整えないと同じことが繰り返される。それでは協力してもらえない。
 ワクチンや医療体制を整えられないのはなぜかという疑問は根強い。多くが無観客となったが五輪開催への厳しい見方もある。安心安全を振りかざすより、科学的な知見とこれまでの反省を生かした対策を示し、理解と協力を得ることが大切だ。

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