2024年 04月24日(水)

現在
6時間後

こんにちはゲスト様

高知新聞PLUSの活用法

2021.07.11 08:45

高知市消防団に県内初の女性副団長、「人のために」32年活動の田内さん

SHARE

長年操作した消防車の放水設備に触れ、思いを語る田内喜久世さん(高知市内)


 高知市消防団に今春、県内初となる女性の副団長が誕生した。同市元町の田内喜久世さん(69)。市内で最初に採用された女性団員として32年活動し、旭地区の分団長も務めてきた。「人のために何かできるのがうれしい。世話好きのおばさんです」と笑顔で語った。

 高知市消防団は現在749人で、うち女性は60人。女性団員の採用は1989年に始まり、田内さんはその1期生6人の1人だ。

 旭地区で肥料店を営む。娘が小学5年生だった38歳の時、地元の防災訓練で勧誘され、「近所の人らが頑張りゆうがやったら」と引き受けた。以来、晩ご飯を作っている最中や就寝中でも火事の連絡が入ると、家族に「ごめん、行ってくる」と伝えて出動。「しんどいなって思う時もあったけど、家族がずっと応援してくれた」

 女性隊員は現場で主に後方支援を担う。田内さんは、消火栓を探してホースをつなぎ、消防車のポンプを操作して放水を調整する役を務めてきた。

 2003年には、放水までの早さや正確さを競う女性団員の全国消防操法大会に6人で出場し、準優勝を飾ったことも。12年から今年3月末まで、同市初の女性分団長を務めてきた。後輩の岡田祥子さん(46)は「女性団員を引っ張ってきた、面倒見のいい『女親分』」と慕う。

 32年の活動を田内さんは「何でも思いやりよね」と振り返る。

 ある現場で出火した家から靴も履かずに避難する若い女性を見て、「消防車にサンダルを置いては」と提案。以来、分団の消防車には避難者用のサンダルが常備された。防災訓練の際には、1人暮らしのお年寄りを回って「参加せんかえ」と必ず声を掛ける。

 高知市消防団は33地区の分団で構成し、全体の活動は団長と4人の副団長がまとめる。田内さんは「声が届きにくい若い団員や女性団員の思いを聞いていきたい」と張り切っている。(浜田悠伽)

高知のニュース 高知市 防災・災害

注目の記事

アクセスランキング

  • 24時間

  • 1週間

  • 1ヶ月