■Google検索からご訪問の方へ(2021年9月14日) ログインできない場合は、こちらからどうぞ

2021.07.03 08:00

【東京五輪】無観客で感染を抑えよ

 新型コロナウイルスのリバウンドに懸念が強まってきた。
 まん延防止等重点措置を適用する10都道府県のうち、4都県は感染が拡大している。緊急事態宣言から重点措置に移行した東京都では、新規感染者数が前週の同じ曜日を上回る日が続いている。
 東京五輪・パラリンピックの開幕が近づき、観客数を確定させなければならない。重点措置の延長は必至の情勢とみられ、緊急事態宣言の再発令も視野に入る。
 政府や大会組織委員会など5者は、重点措置などが発令されていないことを前提に、観客数の上限を定員の50%以内で最大1万人とした。感染状況が改善せずに重点措置のままなら、50%以内最大5千人が適用されるとみられている。
 ただ、その場合はチケット再抽選を巡り混乱が想定される。そこで、最大5千人の会場は観客を入れ、再抽選が必要な大規模会場は無観客とする案が浮上しているという。
 そうかと思えば、再抽選の混乱回避に万全を期し、やはり全てで50%最大5千人入りが望ましいとする見方もあるようだ。思惑含みの綱引きが続いているようにもみえる。
 そもそも、コロナ情勢が重点措置の継続で済むかどうかは分からない。感染者の増加などが続けば、宣言への移行は避けられなくなる。
 その場合は全てで無観客を想定しなければならない。感染拡大への世論の不安は根強く、4割が無観客、3割は中止を求める状況だ。
 ここへきて、与党や官邸内からも無観客の主張が聞かれ始めた。
 菅義偉首相も「先般、無観客もあり得ると明言している」と述べている。確かに先の5者協議は、感染状況が悪化すれば無観客も含めた対応を取ることで一致している。
 首相は観客入りにこだわっているとされる。改めて5者合意を持ち出したのは、批判に予防線を張ったのかもしれない。だが、重要なのは感染拡大の防止であり、首相が繰り返す「安全安心」な大会とすることである。有観客での五輪の成功で衆院選の弾みとしたいという思惑はまず排除されなければならない。
 政府の感染症対策分科会の尾身茂会長ら専門家有志の提言は、無観客が最もリスクが低く、望ましいとする。当初は開催の有無を含めて検討を求める文言さえあったという。
 感染拡大にそれほどに厳しい見方をしている。科学的な知見と真摯(しんし)に向き合う必要がある。観客数が揺れ動くようでは会場内外での対応も確定できない。
 観客の応援を受けて選手たちが最大限のパフォーマンスを繰り広げる。そんな光景をもちろん期待したい。しかし、人との接触を減らすことがリスク軽減の基本と考えれば、無観客をためらってはならない。
 各国選手団の入国も本格化してきた。選手らの行動は厳格に管理されるという。ほころびが生じないように徹底したい。そして、コロナの状況次第では、中止という選択肢があることを排除してはならない。

カテゴリー: 社説

ページトップへ