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2021.06.24 08:00

【赤木ファイル】組織的改ざんの再調査を

 改ざんを要求するメールで繰り返し圧力をかけられ、抵抗と苦悩がにじんでいる。森友学園の国有地売却問題を巡る財務省の決裁文書改ざんで、自殺に追い込まれた近畿財務局元職員、赤木俊夫さんが改ざんの過程をまとめた「赤木ファイル」が開示された。
 財務省が2018年6月に公表した調査報告書は、当時の理財局長、佐川宣寿元国税庁長官が改ざんの方向性を決定づけ、理財局幹部が中核的な役割を果たしたとしている。
 ファイルはさらに、組織的な改ざんの実態を浮かび上がらせる。財務省がなぜこれほどまでに不祥事に突き進んだのか。組織が自浄力を失っている理由を、佐川氏らの「忖度(そんたく)」と見るだけでは理解しがたい。解明をおろそかにはできない。
 だが、一部は黒塗りにされて指揮系統がはっきりせず、指示がどう伝わったのか明確にならない。国の丁寧な説明が不可欠だ。
 問題はまだ決着してはいない。国有地売却額の大幅値引きが適正だったのか疑惑の核心も残る。国会での究明はもとより、第三者を交えた再調査が求められる。
 ファイルには財務省本省から財務局に再三送られてきたメールの記録が含まれる。「指示内容」として、佐川氏の名前を挙げて、国会答弁を踏まえた修正を行うよう指示があったとする記述がある。
 17年2月の衆院予算委員会で当時の安倍晋三首相は「私や妻が関係していたなら首相も国会議員も辞める」と述べた。これが改ざんの発端だったと財務省報告書も認定する。
 また赤木さんは「備忘記録」に、財務省側から、森友学園を厚遇したと受け取られる恐れのある部分を削除するように求められたと書く。そして、現場として厚遇した事実はないなどと強く批判した様子も記している。しかし、こうした抵抗も受け入れられなかった。
 今回の開示内容について、菅政権内には財務省報告書と基本的には変わらないとする見方が出ているようだ。政権への影響を恐れて幕引きを急ぎたいのだろう。だが、情報開示がまだ不十分であることが明らかになった。
 財務省は森友学園の関係者とのやりとりを記録した応接録の情報開示請求に対し、文書が存在するのに、存在しないとして計46回の不開示決定をしていた。隠蔽(いんぺい)体質は解消されたとは思えない。
 このファイルを巡っても、赤木さんの妻が国などに損害賠償を求めて提訴した際に証拠提出を求めたものの、存在の確認に1年以上を要している。そもそも国側は当初は存在をあいまいにしてきた。不誠実な対応と言わざるを得ない。
 改ざんを巡る職員処分が行われていることで、菅義偉首相は決着済みの姿勢を変えようとしない。しかし、安倍内閣には官房長官として関与した。長男も関わった総務省幹部の違法接待問題など、行政がゆがめられることへの疑念は根強い。政治不信を強めてはならない。

カテゴリー: 社説

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