■Google検索からご訪問の方へ(2021年9月14日) ログインできない場合は、こちらからどうぞ

2021.06.23 08:40

五輪開催、高知県民の賛否割れる「コロナ下の希望に」「経済より命優先」【なるほど!こうち取材班】

東京五輪・パラリンピックの開催が近づく。観客ありか、無観客か、中止か―。県民の賛否は割れた(高知市帯屋町1丁目)
 来月23日の東京五輪開幕まであと1カ月。大会組織委員会や政府などは会場の観客数上限を制限して開催する方針だ。高知県民約300人に東京五輪・パラリンピック開催の是非を聞くと、「観客制限」「無観客」を合わせた開催容認派が約半数を占めた一方、4割以上が中止を求めた。賛否は割れたが、五輪をきっかけとした新型コロナウイルスの感染拡大を不安視する声が目立った。

300人にアンケート
 アンケートは、21、22日に高知市の街頭や本紙総支社局を通じて行い、104人が回答。さらに県民・読者からの意見を受け付ける「なるほど! こうち取材班」(なるこ取材班)の無料通信アプリ「LINE(ライン)」窓口からも呼び掛け、友だち登録をしている191人が答えた。

 一般的な無作為抽出の世論調査とは異なるものの、集計では「観客数を制限して開催」が23・1%、「無観客で開催」が26・4%、「中止」が42・7%だった=グラフ参照。

■「どうせやる」
 「制限」「無観客」にかかわらず、コロナ禍での五輪開催を容認する人からは、「五輪はアスリートにとって命だ」「ここまで来たら中止できない」との意見が出た。

 高知市の自営業の40代男性は「国内意見だけで中止するのは無責任。リスクがあるのだとしても開催国の責任がある」と強調。四万十市の20代男性教員は「経済効果は無視できないし、選手の思いをくむべきだ。無観客は経済効果の損失が大きい」との考えだ。

 同市の40代女性教員は「予防接種もできるようになり、一生に一度の大会が日本で開催されることが勇気や希望になる」と開催を要望。「どうせ周りがいくら反対しても国は絶対やる」と話す黒潮町の50代女性会社員は「それならもう、観客を入れた上でどう感染拡大を防ぐかに労力を割いたほうがいい」と求めた。

 ビーチバレーのチケット2枚が当たったという同市の清掃業の40代男性は「生で見られるのは人生で一度あるかないか。行きたいのが本音」。ただ、親からは、19日に来日したウガンダチームの1人が陽性となったことから「行くのはやめてほしい」と言われ、迷っているという。

■「自殺行為」
 一方、中止を求める人からは「経済より命」「医療の負担軽減が優先」とする意見が多い。感染対策の最前線にいる医療従事者からも声が届いた。

 土佐市の60代男性医師は、高齢者へのワクチン接種が完了していない現状や、感染力の強いデルタ株(インドで確認された変異株)に触れ、「多数の海外からの入国者や国内移動が生じることは自殺行為に等しい。感染が爆発的に増加したら医療機関はもたない」と強く懸念した。

 大会組織委などは五輪会場の観客数上限を原則的に定員の50%以内で最大1万人とすること決めた。この方針への不信感も渦巻く。

 高知市の50代女性公務員は「県体などの中高生の試合では保護者のみならず、ベンチ入りできなかった選手が応援すらできなかった競技もある。一方で五輪はなぜこうも緩いのか」と投げ掛けた。

 観光業に携わる土佐市の50代女性は「制限を緩めてまた再拡大する、の繰り返し。じっくり我慢して県外、海外客が本当に安心して観光できるようになってほしいのに、国が逆のことを率先してやっている」と違和感を訴えた。

■「感動物語」
 「五輪ありき」の姿勢を感じている人も多い。高知市の70代男性は「全てが経済優先で動いている。菅義偉首相は『安心、安全』と繰り返すだけ。『震災復興』『コロナに打ち勝った証し』などのスローガンも破綻している」と批判する。

 矛先は五輪報道にも向く。三原村の自営業の40代女性も「高知県でも聖火リレーが盛り上がったように、結局(マスコミは)選手が頑張っていることを強調した感動物語として報道するのだろう」と冷ややかだ。

 香南市の30代女性看護師は開催の是非について、「分からない」と答え、困惑した。

 「感染の波で世の中が一喜一憂する姿に疲れた。こんな時に五輪を開催したらいつまでたっても収束しない。かといって選手は頑張っている。せっかくの母国開催で観客なしも切ない。どうするのがベストなのか…」(高知新聞取材班)

ページトップへ