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2021.06.16 08:00

【国会閉会へ】コロナ対応に残る懸念

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 新型コロナウイルス対応のため会期延長を求めたが拒否されたことを受けて、立憲民主党など野党が提出した菅内閣に対する不信任決議案は、反対多数で否決された。通常国会は閉会へ向かう。
 10都道府県に発令中の緊急事態宣言は20日に期限を迎える。大半は解除する一方、東京や大阪などはまん延防止等重点措置に移行するとの見方が出ている。東京五輪・パラリンピックを控え、対応は観客の有無など開催要件とも関わってくる。
 感染の再拡大を防がなければならない。感染状況や病床逼迫(ひっぱく)を見定めながら、不備があれば早急に対応する必要がある。五輪への懐疑的な見方も根強い。行政監視や立法措置を国会が適切に行えるようにしておくことは不可欠で、このまま国会が閉会するのは違和感が拭えない。
 菅義偉首相は6月初めに公明党の山口那津男代表と会談し、今国会の会期は延長しない方針を確認している。先の党首討論で首相は、国会のことは国会で決めてほしいと述べたが、方向は定まっていた。
 一方、野党は新型コロナの危機対応を議論するため、会期を3カ月延長するよう要求した。しかし、与党側は拒否してきた。
 延長や不信任、対抗して衆院解散という言葉をぶつけながら与野党の攻防は激化した。ただ、コロナ禍の現状では総選挙は選択できないというのが、お互いの本音だったろう。首相もコロナ対応を優先する考えを示してきた。
 だが、国会の役割が終わるわけではない。政府にはコロナ対策に専念してもらうと、自民党の森山裕国対委員長は先に述べた。国会は関与する必要はないと思っているとすれば自らの立場を軽視している。
 感染抑止と経済再生をいかにバランスよく進めるかが問われている。しかし政府の中途半端な対応に批判は根強い。感染拡大につながりかねない五輪への警戒感もある。
 感染者数は減少傾向にある。しかし、政策への信頼感が薄いことは人流の抑制が期待通りにはいっていないことからも見て取れる。再拡大の懸念を指摘する専門家もいる。国会活動を止めていては政府の説明責任は果たせない。
 振り返ると、今国会が召集された1月はコロナの「第3波」が拡大し、11都府県に緊急事態宣言が発令されていた。
 昨年12月には政府、与党は臨時国会の会期延長に応じなかった。通常国会召集までの約6週間に、生活や医療を巡る情勢は深刻さを増したにもかかわらず、そうした状況に対応する施策に国会は関与できなかったことになる。
 その前の通常国会も昨年6月の会期末で延長せずに閉じている。当時は安倍政権で、自民党総裁選や首相交代があったが、憲法に基づく臨時国会召集の要求も軽んじられた。
 国会審議に消極的では、政治とカネの問題も疑念を晴らせはしない。「安全安心」を繰り返す五輪の説明も足りてはいない。

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