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高知新聞PLUSの活用法

2021.06.13 08:00

【プラごみ新法】使い捨てやめて資源化を

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 「プラスチック資源循環促進法」が参院本会議で成立した。来年4月の施行を目指す。
 大量消費されてきたプラスチックがごみになり、深刻な海洋汚染や地球温暖化の一因になっている。
 プラごみの削減に向けて、製造、利用、廃棄の各段階で対策を求めている。利便性を最優先にした使い捨ての習慣を見直し、回収とリサイクルを徹底する必要がある。
 まず製造では、メーカーに商品の設計段階からプラ削減を促す。政府が認定制度を創設し、適合した商品に認定マークを付ける。
 使い捨てスプーンやストローを多く提供する事業者には有料化など削減策を義務付けた。スーパーやコンビニ、飲食店などを想定している。
 有料化は反発も予想されるが、昨年7月のレジ袋有料化は効果が高かった。セブン―イレブンによれば、4分の3の客が袋を辞退している。
 マイバッグを持つ習慣も生まれた。今回もマイ箸やマイスプーンの携帯を促しながら、有料化を削減策として検討すべきだろう。
 家庭から出るプラごみの回収も見直される。これまではペットボトルや食品トレーなど容器包装の分別回収が進められてきた。
 環境省によれば、全国の市区町村の67%が実施している。しかし、分別の基準が分かりづらく、プラごみが分別されないまま燃えるごみとして出されやすい状況がある。
 同法では、容器包装に限らず「プラ資源」として一括回収を市区町村の努力義務とした。主に焼却処分されてきたプラ製おもちゃや文具、ハンガーなども含まれる。
 回収量が増え、リサイクルにつながることが期待される。ただし、自治体の負担増は避けられない。回収作業や分別の手間が増え、人員が必要でコストもかかる。
 県内の市町村も含め、プラごみを分別せず燃えるごみなどとして収集している自治体は少なくない。その場合、回収体制やリサイクル施設の確保を一から検討することになる。
 「熱回収」の問題もある。国内で処理されたプラごみのうち、7割近くは焼却されている。その熱を発電などに利用する「熱回収」がリサイクルを補完する方法として、法的にも位置付けられてきたためだ。
 しかし、環境省は地球温暖化対策に向け、熱回収の縮小方針にかじを切った。同法施行後は、ごみ処理施設整備費を支援する交付金の対象から、一括回収に乗り出さない自治体を除外する考えも示している。
 急激な方針転換に対し、自治体の反発も広がっている。ただ、焼却処理で二酸化炭素が多く排出されている現状は変えなければならない。
 環境省は自治体の意見を十分に聞いた上で、熱回収からの転換に向けた支援策を打ち出すべきだ。
 イオンがメーカーと組んで商品容器のリユース(再使用)事業に乗り出すなど、企業も動きだしている。
 海洋汚染や地球温暖化は待ったなしの課題である。私たち消費者も行動を変えていく必要がある。

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