2021.06.11 08:39

[県体2021]弓道・土佐女子なぜ負けた?V候補が予選敗退 選手ら見えぬ答え

団体の全国優勝を目指していた土佐女メンバーら。チームの夢は県体の予選で散った。前列右から第十、谷内、櫛田、門田、安岡。後列右から近藤監督、山崎、羽方、白川、森沢(写真はいずれも同校弓道場)
団体の全国優勝を目指していた土佐女メンバーら。チームの夢は県体の予選で散った。前列右から第十、谷内、櫛田、門田、安岡。後列右から近藤監督、山崎、羽方、白川、森沢(写真はいずれも同校弓道場)

 高知県の高校生アスリートの祭典、県高校体育大会(県体)。多くの3年生にとって集大成の場であり、ほとんどの競技で全国総体(インターハイ)予選になる。大舞台への切符をつかみ歓喜する選手の陰には、今年も多くの敗者の涙があった。2021年県体で夢破れた、あるチームのその後を追った。

県体に向け、部員全15人が弓を引く心構えを記したメモ。イラスト入りは出場メンバーの7人が書いた。本番当日の言葉は「自分の射を信じる」
県体に向け、部員全15人が弓を引く心構えを記したメモ。イラスト入りは出場メンバーの7人が書いた。本番当日の言葉は「自分の射を信じる」

 なぜ負けた―。県体から10日以上たっても、答えは見つからない。

 「普段なら高ぶり過ぎたとか、構え過ぎたとかあるけど、思い当たらないんです」

 土佐女の弓道場。3年の第十つばさは顔をゆがめた。同じ3年の主将安岡さくらも明確な答えはない。「みんな、硬くなってたのかな…。『県体』という言葉に」

 5月22、23日に県弓道場で行われた女子団体は6校による決勝リーグを制した土佐塾が初優勝。優勝候補筆頭と目されていた土佐女は、予選で姿を消した。

 ◇ 

 土佐女は昨夏以降の県内主要4大会で、秋季から3大会連続で優勝。四国新人大会を制し、全国選抜も5位入賞。3年生最後の夏、掲げた目標は「全国にもう一度出る。そして全国優勝」だ。

 団体は5人制。予選は1人4射、計20射の「立ち」を2回行い、総的中の上位6校が決勝リーグに進む。

 メンバーは大前が第十、二的に3年谷内李乃、中は3年櫛田弥生、落ち前に1年門田遥、落ち安岡。優勝した4月の春季と同じ布陣。控えに2年の羽方(はかた)ことみ、白川絢那(じゅんな)が入る。

 「みんな、負けず嫌いでストイック。結束が強く、欠点を補い合えた」と安岡。自信があった。

 門田も「今回もいい結果が残せるだろうな」と思っていた。しかし、会場の空気が春季とは違った。「『県体』という感じが重かった」

 第1日の予選1立ち目は10中。16校中6位でも誰一人、予選通過を疑わなかった。これまでの大会も、2立ち目で巻き返してきたからだ。

 最終日の朝、メンバーは学校で練習した。手伝いをした3年の森沢咲菜(さな)と山崎百華は「いつもと違った様子はなかった」と言う。

 予選2立ち目、第十の1射目は的枠に当たり、カツーンと音を立てた。的中は「○」、不的中は「×」と表示されるが、判定は「?」(保留)。1射目の「○」は1本だったが、2射目4中、3射目3中と持ち直す。

 最終4射目。「みんなでやる最後の1本になるかも」と第十が放った矢は外れた。1射目を外して心を乱し、的中のなかった谷内は「この1本で貢献できれば」と的を捉える。ここまで3中の櫛田は不的中。門田、安岡も外してしまう。

 第十の1射目も「×」と判定され計9中。前日より少なかった。予選19中で7位タイ。6位との差はわずか1本だった。

 控え場所でみんな泣いた。思いもしなかった予選敗退という結果に、涙が止まらなかった。

 気を取り直した第十が他の4人に尋ねた。「後悔(する射)はしてない?」。全員がうなずく。チームの夏が終わった。

 ◇ 

 「あそこで、まだ弓を引いていたはずなのにな」

 部活を引退し、オーテピアで勉強をしていた櫛田は窓の向こうの弓道場を見て、思った。

 「射に後悔はないけど、未練が残る試合をしてしまった。放課後に弓道場のシャッターが上がる音や部員の掛け声が聞こえると、悲しくなる」

 安岡は県体後の休日に戸惑ったという。「休日にやることがなくて、ぼおっとしていました」。中1から続けてきた練習はもう、ない。

 「予選で終わるとは思わなかった。(会場で)もう少しみんなと話し合えば良かったかな。個別には話をしたけど、輪になって、みんなで話せば良かった」。いろんな思いが今も頭をめぐる。

 近藤久美子監督は県体を引きずっている。「危うさはあったんです。日頃から最初の立ちの的中が低かった。本番でそれが出た。県体にピークを合わせるコントロールを、私ができなかった」

 そして、自嘲気味につぶやいた。

 「このチームを勝たせられなかったら、どのチームを勝たせられるんでしょうね…」

 ◇ 

 「会場で応援できたのは私たちだけ。それを無駄にしないよう練習しようと話し合った。私たちの代で(県体の)優勝カップを取り返したい」。羽方と白川は来年の雪辱を誓う。

 第十は、今も弓道場に立つ。インターハイの個人戦に出場するためだ。

 「団体で全国優勝を目指してきた。それを果たすのが自分の役割」

 前を向いて、弓を引き続ける。(竹内竜一)

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