2021.06.01 08:32
とさビズ ニュー・エコ・マテリアル(宿毛市)社長 宮本大樹さん(79)
抗ウイルスや消臭効果のあるコーティング剤を製造する。出荷先は首都圏の電車やタクシー、映画館など。新型コロナ下の昨年、取引量は従来の6倍に伸びた。「うれしいかぎりですね」
和歌山県出身。京都大理学部と同大学院で「あらゆる物体の根幹」であるナノテクノロジーを研究した。大阪の研究所を経て独立。知人の紹介で2002年、高知西南中核工業団地に研究室と工場を構えた。
剤は、セラミックを溶かした液体。塗って乾燥させると、無数の穴が開いた膜になり、臭いなどを吸着させる。「ウイルスに効く成分は企業秘密」。最長3年ほどの効果が見込めるという。
県外や米国の研究機関で実証を続け、11年にはインフルエンザウイルスへの有効性を確認。新型コロナも「1時間で97%が不活性化したという好結果が出た」という。
地元ではコーティング剤をスプレーボトルに詰めて、「四万十シュッシュ」の名で個人用に販売。今なお研究漬けの日々を送る。「海外も含め、もっと事業を展開させたい。100歳まで頑張る」と意欲は尽きない。(宿毛支局・新妻亮太)