2021.05.29 08:00

【緊急事態延長】説明尽くし実効性高めよ

 新型コロナウイルス対応の改正特別措置法に基づき東京、大阪など9都道府県に31日までの期限で発令している緊急事態宣言が、6月20日まで延長された。
 また、まん延防止等重点措置を適用している8県のうち埼玉、千葉など5県を6月20日まで延長した。
 東京や大阪などで減少傾向が見られるものの、感染力が強いとされるインド変異株の拡大が懸念されている。療養者数が既に想定を上回った道府県もあり、入院先が決まらずに死亡する事例さえ起きている。
 感染対策の強化や病床確保は急務だ。宣言対象地域では、酒類やカラオケ設備を提供する飲食店の休業や大規模商業施設の営業時間短縮の要請など、現行対策の徹底と上乗せ措置を図るとする。それに見合う支援策の充実も怠れない。
 振り返ると、1月に1都3県に再発令された緊急事態宣言は対象の増減はあるが延長を繰り返し、ひとまず3月下旬に解除された。しかしほぼ1カ月後に4都府県に再度発令され、追加と延長を重ねている。
 感染を抑え切れていない状況での宣言解除は問題視された。実際、宣言が解除されていた間に、都などには重点措置が適用された。
 「平時」がほとんどない状態が続いていることになる。それほど住民生活は不便を強いられ、経済活動に負担をかけてきた。繰り返される延長に、それに見合うだけの効果が出ているのか心もとない。
 世論調査では、政府のコロナ対応を7割が評価していない。行き当たりばったりの対策が不信感を高めてきた。感染抑制やワクチン供給をめぐる菅義偉首相らの発言も、実行できていないことが目立つ。
 ワクチン接種は遅れている。普通の生活を取り戻し始めた欧米などとの違いは決定的だ。政府が7月末までの完了を目指す高齢者接種は、できないとする市区町村が全体の1割を上回る。期待の押しつけではなく、それを可能とする体系だった支援体制が求められる。
 今回の延長の日程は、東京五輪などをにらんだ思惑含みの決定ではないかという疑念が出ている。根拠を明示した説明を繰り返して理解を得なければ、収束へ向けた取り組みが強まることは期待しにくい。
 高知県内も警戒を強める必要がある。感染者はきのうまで4日連続で20人を超えた。27日にはこれまで最多の38人が確認されている。
 県は対応ステージを5段階で上から2番目の「特別警戒」としている。ただ、指標によっては最も厳しい「非常事態」の水準に入ったものもある。高知市と四万十市の飲食店などに時短営業を要請した。
 高知でも感染力が強い変異株が主流となったようだ。専門家は、3密のなかでも特に「密接」にならないように呼び掛けている。帰宅後の手洗いなど、日常生活での感染対策の徹底が求められる。
 ワクチン接種では手続き面でのトラブルも見られた。きめ細かな対応で不安がないようにしたい。

カテゴリー: 社説

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