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2021.05.23 08:00

【コロナ自宅療養】急変時に救える対策を

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 新型コロナウイルスの感染急拡大で病床が埋まり、適切な治療を受けられないまま死亡してしまうケースが相次いでいる。
 共同通信の集計では、今年1月以降に緊急事態宣言が発令された14都道府県で、少なくとも78人に上った。自宅や宿泊施設で療養中や入院待機中に症状を悪化させている。
 軽症だった人が急変するなど、重症化しやすい変異株の影響もある。今後も入院できないコロナ患者の命が失われかねない。体調の変化を的確にとらえ、治療につなげる仕組みを整える必要がある。
 死亡例はさらに多い可能性もある。大阪府は自宅療養中に容体が急変し、救急搬送後に死亡が確認された場合なども「医療の管理下にある」として集計に含めていない。
 厚生労働省によれば、コロナに感染し自宅療養している人は全国で約3万3千人に上る。宿泊施設での療養は1万人を超えている。
 各地で医療提供体制が逼迫(ひっぱく)しており、本来治療が必要なコロナ患者を入院させることが難しくなっているためだ。
 ところが、政府は今月11日に閣議決定した答弁書で、医療機関以外の場所で亡くなった人や自宅、宿泊療養中の死者について「網羅的に把握していない」と回答している。
 それらの死者は、本来の医療提供体制が機能していれば救えた可能性があった人々だろう。なぜ命を落とすことになったのか。実態を把握し、原因を検証することが防止策に欠かせないはずだ。「把握していない」では済まされない。
 国と自治体、医師会などは連携して対策を急がねばならない。特に自宅療養をしている人に対しては、保健所が体調確認の電話をかける対応などに限られている。
 独自の支援策に動いている自治体もある。神奈川県では、悪化のリスクがあると判断した自宅療養者に、看護師が毎日電話するほか、必要に応じて自宅を訪問している。
 東京都はLINE(ライン)などを活用し、24時間体制で体調を管理する仕組みをつくった。医師会と連携した往診体制の構築も目指している。
 高知県でも連日2桁の感染が確認され、予断を許さない状況だ。病床使用率が上がり、入院できない患者が多く発生する事態にも備えなければならない。
 兵庫県や大阪府では、高齢者施設のクラスター(感染者集団)が発生し死亡する事例も相次いだ。入院先が確保できず、施設内での療養を求められたためだ。
 医師がいたり、医療機関と連携したりしている施設は処置ができると見なされがちである。かえってコロナの専門治療を受けられず、結果的に多くのお年寄りが亡くなる恐れがある。高齢化率が高い高知県でも、対応を十分に検討しておくべきだ。
 県内の感染急拡大を食い止め、救える命を救えなくなる状況を何としても避けなければならない。ここが正念場と考えて、県民一人一人が感染対策を改めて徹底したい。

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