2021.05.20 08:00

【GDP急減】回復へワクチン接種急げ

 菅政権が目指してきた、新型コロナウイルス感染対策と経済回復の両立がいかに困難か、改めて浮き彫りになった。
 2021年1~3月期の実質国内総生産(GDP)速報値は前期比1・3%減と3四半期ぶりにマイナス成長に転じた。年率換算では5・1%減で、感染再拡大で日本経済が急減速したことを裏付けている。すでに回復局面に入った米中とはコロナ対策で明暗が分かれた格好だ。
 同時に発表された20年度通期の実質GDPも前年度比4・6%減。消費税増税などで0・5%減だった19年度に続き、2年連続のマイナス成長だった。金融市場の目詰まりで世界同時不況に陥り08年度に3・6%減、09年度に2・4%減となったリーマン・ショック時を超える戦後最大の落ち込みである。
 1~3月期の落ち込みは予想されたことではあった。1月に発令された2回目の緊急事態宣言とほぼ期間が重なるためだ。
 GDPの過半を占める個人消費は飲食店の営業やイベントの制限などで冷え込み、1・4%減だった。企業の慎重姿勢を反映して設備投資も1・4%減少。けん引役の輸出は2・3%増と踏みとどまった。内訳をみれば、業種によって二極化する傾向が浮かび上がる。
 輸出が底堅いのは、景気が回復基調に戻った市場があるからだ。米国はワクチン接種や巨額の財政出動で経済活動の再開が進み、1~3月期は年率6・4%増となった。年初に新型コロナの再流行を抑え込んだ中国も、4四半期連続でプラス成長を確保している。
 米中と日本の違いに、コロナ対策の巧拙が影響しているのは明らかだろう。
 経済活動に配慮してか、宣言発令やまん延防止等重点措置適用の際に政府には慎重さがみられ「後手に回っている」との批判も根強い。一方でワクチン接種率は、経済協力開発機構(OECD)に加盟する37カ国の中で最低水準にとどまる。
 政府はGDPの急減速に「人為的に活動を抑制したサービス消費に弱さはみられる」としつつ、「総じてみれば持ち直しの動きが続いている」と強調した。あまりに楽観的すぎよう。2年連続のマイナス成長に沈み、他国より経済活動の回復が遅れている現実をもっと重く受け止めるべきだ。
 長引く感染対策で、外食や観光などの事業者は体力を大きく奪われている。雇用調整助成金も拡充されているが、非正規労働者を中心にしわ寄せが懸念される。
 回復局面に入れば、自粛で抑制されてきた潜在的な消費意欲に期待が持てるとしても、それまで経済的な基盤や雇用をしっかり維持することが重要だ。目配りが欠かせない。
 経済活動再開への最大の鍵は、米中の例が示すようにワクチンの接種率である。接種が遅れるほど、国民の間に経済的なダメージも蓄積していく。V字回復できるかは時間との勝負になってくる。

カテゴリー: 社説

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